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これからの人材活用

第5回「事例に学ぶ中小企業の人材育成」

毎月異なる著者の方に「中小企業はどのように人を雇用し、自社戦力としていかに力を発揮してもらうか」について、ご執筆いただきます。

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大企業の人材育成は充実しているか?

「人を育てたいが、中小企業なのでそんな余裕がないんですよ」という声は多い。

 大企業には人事部があって研修担当者を置く余裕があるけれど、中小企業では何でも屋の管理部門に数人の社員を置くのが精いっぱいで、人材育成には手が回らないという嘆きだが、それは少し違っている。
 感覚で言うと、従業員数1000人の会社なら研修担当者は多くて2〜3人。単純計算で、担当者1人当たり300〜500人。そんな多くの人数のニーズや状況を把握して、育成策を立案・実行していくのは無理だ。人材育成に手が回らないのは、大企業も似たようなものなのである。

 大企業には、しっかりした研修体系があり、それが着実に実行されているというのも思い込みにすぎない。

 今やっている研修が、事業環境や内部の状況に合っていないことを分かっていながら、見直しに手が回らないので仕方なくやり続けているのが実際だ。
 研修体系には明記されているが、実際に開催されていない研修も多い。外部のセミナーや通信教育の受講に対して、会社が金銭補助するような仕組みも大企業には多いが、それも利用率は惨憺たる状況で、どうしたらもっと受講してくれるか…と頭を悩ませているような状況である。

 そもそも、大企業という環境では人材育成が難しい面がある。一概に言えないが、業務が整理され、定型化され、細分化されているので、大した知識がなくても、挑戦や工夫をせずともやれてしまう仕事が多いし、一人ひとりの守備範囲も狭い。ブランドや信用力のおかげで成果が出てしまうから、個々の力量はそれほどでもないし、力をつけようという意欲に欠けるきらいがある。

 ルールや手続きが多く、社内調整も重要なので、大企業の社員の関心は、自分の力量よりも社内政治や人間関係に向きがちだ。それに比べて、中小企業ではドタバタが人を育てる機会となるし、個々の力量次第で成果が変わるのだから危機感も強くなる。

 あれもするな、これもするなという大企業と、あれもしてくれ、これもしてくれという中小企業。本来的には、後者のほうが人は成長しやすいはずである。



事例1:個別性の高さが大切

 中小企業は人数が少ないから、全員が互いにキャリアやパーソナリティをよく知っている状況にある。

 社長が新入社員の顔も名前も知っており、何度も会話したり、酒を飲んだりしているから、人となりもよく分かっている。これは、大企業にはあり得ない優位性であり、人材育成を考えるとき、最も重視すべき点であろうと思う。

 大企業では、人数の多さゆえに年次や階層や職種をひとくくりにして考えざるを得ないが、中小企業では社員一人ひとりにどのような強みや特性があり、これからどのように育てるかを議論し、個別に育成策を実行していける。学習塾に例えれば、集団授業の塾ではなく、個別指導の塾のような育成スタイルがとれる環境にあるのであって、その強みを活かさねばならない。一例を紹介しよう。

 従業員数50人ほどの会社から、「管理職7人に対して、評価と面談の訓練を徹底的にやってもらいたい」という研修のオーダーをいただいたことがある。

 社長は、上司が半年に一度、充実した内容の面談(フィードバック)をしていれば、研修などしなくても人は育つのではないかという。
 そして、管理職の部下育成に徹底した個別性を求めていた。何年目だから、どんな職種だから、男だから女だから、学歴がどうだから…といった外形による決めつけは駄目。各々の特性はどこにあるのかを見極め、それに応じた仕事の与え方、育て方を考えるよう指示していた。

 評価では点数をつけるだけでなく、それぞれの長所・改善点を見いだすことにとことん注力しており、一人ひとりの評価について経営会議で議論する時間は半端ではなかった。
 面談では、それに基づいて上司が成長目標や開発計画を部下に提案し、十分な会話を通して合意するようにしていた。上司と部下の面談時間は長かったし、何回も行われるのは珍しくなかった。


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川口雅裕
●1964年生まれ。京都大学教育学部卒。組織人事コンサルタント。1988年、株式会社リクルートコスモス(現株式会社コスモスイニシア)入社。人事部門で11年間、組織人事・制度設計・労務管理・採用・社員教育研修などに携わったのち、経営企画室で広報および経営企画を担当。退社後、2003年より組織人事コンサルタントとしてコンサルティング、研修、講演活動などを行う。著書に「だから社員が育たない〜部下育成のためにやめるべきこと すべきこと」(労働調査会)、「顧客満足はなぜ実現しないのか〜みつばちマッチの物語」(JDC出版)。
http://www.ini-p.co.jp/
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