第5回「初期教育で気をつけることは?」
パート・アルバイトスタッフに「いかに定着してもらい、戦力として力を発揮してもらうか」についての施策や、考えるヒントなどを解説します。
旧盆の繁忙期も終わりを迎える中、ちょっと一休みといったところでしょうか。皆さま、お疲れさまです! 今回、皆さまにお伝えしたいことは「アルバイト初期教育」についてです。厳正なる面接を合格した新進気鋭のニューフェースには、スクスク育ってほしいですね。
入社への玄関先が「面接」ならば、初期教育は「初めてリビングにお邪魔する」という関門です。粗相のないようにしなければ、と新人さんは緊張していることでしょう。あえてふてぶてしい、素っ気ないという言動を取っていたとしても、ドキドキしない人はほぼいないはずです。 シフトイン初回〜5回目くらいまでは、仕事を覚えるのは表層で、深層は「人間関係をつくれるか」にかかっています。関係構築を一番推進できるのは「トップ」である店長です(店舗でなければ職長)。
「今度入社してくれた○○さんです。皆さん、よろしく頼みます!」 この一言は仲良くなるためのいわば「パスポート」です。この一言を皆に告げ、店長自らOff-JTを行うことでさまざまなメリットが生まれます。
■新人さんにとって・店長に案内してもらえて、なんとなくステータス感がある・大事にされている、大切に扱ってくれているという意識が醸成される・自ら「○○です、よろしくお願いします」を言わずとも認知度が上がる
■店長にとって・これからしっかり新人を見ていってほしい、というメッセージを有言・無言で既存アルバイト・社員へ間接的に伝達することができる・新人の特長、能力、才能を探したり確認したりできる・初期コミュニケーションを通じ、教育係として適切な人材を指名することができる
そして、何より職場を一番良く理解しているのは店長です。正確かつ深い情報を伝えていただきたいと思います。新人さんですから「理解度」は推し測れない部分もありますが、「真摯さ」は必ず伝わるはずです。
もし、「○○さん、今日新人が入って来るからよろしくね」という一言で片付け、部下に半ば押し付ける形になったらどうなるでしょうか。押し付けられた部下は「えーっ! 今日はあれとこれをやらなきゃいけないのに…」「ちゃちゃっと教えて、あとはやらせないと自分の時間が取れなくなる」という思いを抱いてしまい、散々な結果につながりかねません。せっかくしっかりとした面接を行ったのに、水の泡となってしまいます。最悪の場合、早期退職につながります。良い理念、方針、計画があっても、初期伝達がうまくいかないと、その「良い」部分が理解されないまま退職されてしまいます。
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●文/植竹剛(うえたけ つよし)1971年生。株式会社チームのちから代表取締役。大学卒業後、株式会社ロッテリア入社。店長経験を経て、チェーンストア化を目指す企業にヘッドハンティングされて転職。その後、数社で店舗運営に関するさまざまなノウハウを学び、2012年、組織における人の問題の解決支援を行う株式会社チームのちからを設立。これまで直接関わったアルバイト採用はのべ2万人、店長経験は11店舗に及ぶ。著書に『「できる店長」と「ダメ店長」の習慣』(明日香出版社)、『落ちこぼれスタッフから最強のチームを作る極意 店長養成道場』(日経BP社)がある。オフィシャルブログ: http://team-chikara.com/blog/店長養成道場: http://tenchoyouseidojo.com/バイトテロ対策: http://www.baitoterro.com/
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