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働く個人にこれまでのキャリアや仕事観を聞き、企業が人を雇用する上で考えなければならないことを探ります。(2019年1月16日)
語学スクールのマネジャーになって18年、中原寛子さん(仮名・48歳)は会社の2代目社長に手を焼いている。先代が心血を注いで創業した語学ビジネスに対する関心の薄さが目につくのだという。
「社長の家は資産家で、会社も自社ビルです。先代が亡くなって落ち着いたころ、社長は古いビルや土地を買い始めました。不動産事業に力を入れ、本業の語学スクールの経営は私に丸投げです。それどころか、“中原さん、宅建の資格は持ってますか?”と真顔で聞いてきたぐらいです。私は語学業界一筋で持っているわけがないのに」
先代は予備校の英語講師を経て、語学スクールを創業。そのころ、大手英会話学校のマネジャー補佐だった中原さんはこれから伸びていく会社に興味があり、求人を見て応募し、創業3年目から支えてきた。今では取締役になり、アシスタントマネジャーの社員1名、業務委託の講師10名、パート2名を従えるようになった。スクールの運営では、事実上トップになったのだ。だからこそ2代目社長の言動がもどかしいのだという。
「25歳の彼は若手経営者が集まる団体の会員になっています。年会費は10万円弱で、地域行事への参加とその後の懇親会が週に3、4回はあります。会社のお金でいつまでそんなことを続けるのでしょうか。平日のゴルフも勘弁してほしいです。アマチュアの大会に出て、新聞に名前が出て喜んでいましたが、私は恥ずかしかったです。“人脈のため”と言っていますが、仕事にはほとんど結びついていません」
語学スクールは転換期を迫られている、と中原さんは言う。
「スカイプを使った格安レッスンの台頭で生徒数は減っていますが、代わりに企業に講師を派遣してレッスンすることは増えています。あとはインバウンド絡みのコーディネートや翻訳業務でしょうか。社長には今後のプランを出していますが、あまり興味がないようです。先代が作った土台があるから今のところ収益はありますが、何も手を打たなければ売り上げは落ちていくと思います」
会社には、不動産関係の来客や問い合わせが増えている。
「私は先代のお陰で今日があるので、2代目に対しては出しゃばらず、余計なことは言わないようにしています。でも、不動産の仕事に私も携わっていくとなれば話は別です。度合いにもよりますが、そのときは退職も視野に入れています」
会社のことを古くから知る関係者も、中原さんのことを心配しているという。
「資金提供するから独立しないかと持ちかけてくれる人もいました。でも、会社の顧客を持って行く可能性がありますから…。先代を裏切るようなことはしたくないです」
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