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人の心が引き起こすさまざまなトラブルを取り上げ、その背景や解決方法、予防策などを探ります。(2019年12月19日)
誰でも一度は「死んだらどうなるのか?」を考えたことがあるはずだ。だが、誰に聞くこともなく、やがて忘れてしまう。そして、いつしかもう一度、考えるときがくる。
玩具の収集
39歳の雄二は独身で、古いフィギュアやブリキの玩具の収集に凝っている。給料のほとんどをつぎ込むのだ。会社では5年前に異動になり、今は人事部にいる。仕事は楽しいが、最近は疲れやすく、ため息ばかりついていた。
上司に「心配なことでもあるのか?」と聞かれても、雄二は「何もありません。大丈夫です」としか答えない。しかし顔色は白く、衰弱している。自分では気付いていないが、仕事が手につかない状態だった。実はそのとき、雄二はタナトフォビア(死の恐怖症)に苦しんでいた。
末期がんの母親
雄二は母子家庭で育った。看護師の母親は、彼が大学を卒業するまで面倒をみてくれ、何の不自由もなく育てられた。3歳年下の妹がいるが、すでに結婚して幸せに暮らしている。雄二が気楽な独身生活ができるのは、同居している母親のおかげだった。
だが、母親は末期のすい臓がんにかかっていた。半年前に母親から病気のことを打ち明けられたとき、雄二は動転した。心理的ショックは大きく、気持ちを落ち着けるために会社を休んだほどだった。
墓じまいをしたい
そんなある日、母親と一緒に先祖代々のお墓がある菩提寺に出かけた。そこで母親は住職に「墓じまいをしたいのですが」と言った。墓じまいとは、お墓を撤去することだ。近年、少子化などの影響でお墓の後継者が減ってきていることから、墓じまいを選ぶ人が増えている。
母親は「自分はがんなので、手続きを急ぎたい」とも言った。雄二に負担をかけないためだった。そのとき、母親は住職に「人は死んだらどうなるのですか?」と聞いた。住職は慣れたような口調で「あなたは大丈夫。極楽浄土間違いなしですよ。それよりも、今を大切に生きてください」と言った。
タナトフォビアになった
そのときから、雄二の頭には「死んだらどうなる?」という言葉が、繰り返し浮かぶようになった。自分が死んだらどうなるのだろう。毎日、死の恐怖に襲われ、眠れなくなった。母親が長く生きられないことと、自分の死に対する恐怖が重なった。いつか必ず死ぬと思うと、生きていることも怖くなってきた。
自分の心音や呼吸が気になり、心臓は正常に動いているか、呼吸は不自然になっていないか、気になるようになった。また、死ぬときに激痛や苦痛に襲われたり、孤立して1人だったら、などという考えが次々に湧いてきた。さらには、あの世は「本当にあるのか」など、心配は拡大していった。しかし、雄二はそんな恐怖心や不安感を誰にも話せなかった。
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●文/河田俊男(かわだ としお)
1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。
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