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ココロの座標/河田俊男

第32回「視線に耐えられない」

人の心が引き起こすさまざまなトラブルを取り上げ、その背景や解決方法、予防策などを探ります。(2018年11月28日)

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 交差点の反対側で待っている人が自分を見ている。駅のホームで、向かい側のホームから自分を見ている人がいる。そんな感覚を持ったことはないだろうか。なんとなく人の視線は感じるものだ。普通は気にもしない感覚だが、もしそれが病的に気になったら、かなり苦痛だ。

 

 

人の視線は苦痛?

 

 近くのビルに、東南アジアの食品を売る店がオープンした。主な客はタイやインド、マレーシアなどから日本に来ている東南アジアの人々だ。エレベーターに乗ると、彼らと一緒になることがある。8人ほど乗れば満員になるエレベーターだ。自分以外はすべて東南アジアの人というときもある。

 

 「あの人たちが、私をジロジロ見るんです」と訴える女性がいた。そのビルで働く女性で「狭いエレベーターの中で、上から下までなめ回すように私を見るんです。耐えられないです。もう限界で、会社を辞めようと思っています」と言う。

 

 以前、彼女は軽いうつ病になった経験があり、他人の動作に過敏になっている可能性があった。また、彼女は攻撃的な性格でもあった。「なに、ジロジロ見てんだよ!」などという攻撃的な声が心の中でこだまし、自分の心の声に疲れてしまったようだった。

 

 

 

 

 

もう耐えられない

 

 睦美は、金融関連の会社に勤務して1年になる。仕事はパソコンでの情報処理で、勤務中ほとんど人と話すことはない。彼女は1年間、我慢してきたことがあった。「自分の向かいの席でパソコン操作をしている人が気になって仕方がない」と言う。向かいで仕事をしている人と、視線が合ってしまったら嫌だなどと考えてしまうのだ。

 

 そうしたことから、彼女は周りを警戒してしまう。その行動を冷やかされたり、悪質なうわさを流されたりして、彼女はショックを受けた。やがて、自分は周囲の人々を「不快にしているのではないか」と考えるようになり、人間関係がギクシャクしてしまった。最近は、そんな恐怖症からうつ気分も出てきて、会社に行きたくなくなってきた。

 

 しかし、一人暮らしをしているので、会社を辞めると生活が破綻してしまう。無理して出社するのだが、その無理もきかなくなってきた。

 

 

異質排除の習性

 

 エレベーターの中の人々の視線に、悪意はないだろう。例えば、人が少ない土地に行ったとき、地元の人たちからジロジロ見られた経験はないだろうか。人の多い都会では、そうした行為はあまり見られないが、小さな町ではそんな視線を感じることもあるだろう。

 

 人間には、同じような人間かどうかを気にする習性がある。おそらく、危険な人間かどうかを無意識に判断するためだろう。よく子供たちが、違う地域から来た子供をいじめることがある。それは、異質排除の習性からだ。

 

 

原因はあるのか

 

 睦美のような脇見恐怖や視線恐怖といった症状は、思春期に発症しやすい。女性のほうが、男性よりも多い。恐怖は、脳の中の「扁桃体」という部位が関係するとされている。人間にとって危機的な状況に反応する部位だ。人に恐怖を感じるときには、その部位の働きが活発になっているという報告がある。

 

 つまり睦美が人を意識してしまうとき、自分が他人を不快な思いにさせていないかと不安や恐れを感じるとき、脳は危機的な反応をする。彼女の脳は、他人との同調行動をとる必要性を強く感じてしまうのかもしれない。しかし彼女は、実はどんな人たちも嫌いなので、同調できない。無意識の強い嫌悪感から、恐怖を感じてしまうのだ。

 うまく同調できないということは、思春期の脳にとっては、生存を脅かすことになるのかもしれない。だから本能的に、恐怖として反応してしまう推測もできる。

 

 

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●文/河田俊男(かわだ としお)
1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。

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