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働く個人にこれまでのキャリアや仕事観を聞き、企業が人を雇用する上で考えなければならないことを探ります。(2019年3月14日)
左足を切断して仕事観が変わったというのは、東京郊外に住む深田仁一さん(仮名・46歳)である。
深田さんは介護業界と運送業界を中心に職を転々としてきた。事故は3年前、介護職を辞めて、次の仕事までのつなぎでアルバイトをしていた産業廃棄物の処理工場で起きた。
「ベルトコンベアを修理しているとき、気がついたら背後からショベルカーが突進してきました。あわててよけたけど、左足の足首がキャタピラの下敷きになってしまったんです。それで切断になって今は義足です。でも、死ななかっただけでもマシです」
あっけらかんとそう言って義足を見せてくれる深田さんだが、社会復帰するまでに1年近くを要している。想像以上の苦悩があっただろう。現在は友人の経営する飲食店を手伝いながら、アマチュアのミュージシャンとしてライブ活動をおこなっている。
「事故があって、世間体とか、体裁とか、見栄とか、そういうものから解放されて吹っ切れたんです。もともと夢だったミュージシャン活動を、本格的に始めるきっかけになりました。40歳を過ぎて、初めて自分と向き合うことができたのかもしれません」
高校卒業後、新卒で運送会社に就職した。結婚して子供も生まれたが、同居していた義理の両親が厳しかったため、高校時代から続けていたバンド活動はやめた。4年目に待遇の良い大手の同業他社に転職し、一見すると順風満帆な生活を歩んでいた。だが、高速道路で自動車事故に巻き込まれたのを機に、運転が怖くなり退職。しばらく休んで別の運送会社で働き始めたが、精神的に不安定になることがあり、介護業界に転職した。
「自動車事故以降、精神力が弱ってしまったようで、不安定になることがありました。だったら体を動かす仕事に切り替えようと思ったんです。しかし、体力以上に人間関係が大変でした」
スタッフが80人ほどいる大型の介護施設で、深田さんは女性の上司に悩まされることになる。介護士として入職したはずなのに、介護の仕事をさせてもらえない状況になってしまったのである。
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