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ココロの座標/河田俊男

第51回「田舎暮らしに憧れて」

人の心が引き起こすさまざまなトラブルを取り上げ、その背景や解決方法、予防策などを探ります。(2020年6月25日)

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 最近、モンシロチョウやアゲハなどの蝶を見たことがあるだろうか。一体どこに行ってしまったのだろうか。たまには森林のような自然の中で、大きな深呼吸をしてみたいものだ。

 

 

リストラからうつ状態に

 

 45才の真司は大手家電メーカーのIT事業部に勤務していたが、部門縮小のためにリストラされた。納得できる退職金をもらえたので不満はなかったが、その後2年間、再就職できなかった。ようやく中小企業のソフト開発部門に採用されたが、今度は半年で退職することになった。自分にできる仕事だと思っていたが、古い知識は使い物にならず、気力もなく、ほとんど会社の役に立てなかった。長く大企業に守られていたことと2年間のブランクが影響していた。

 

 真司は自分のふがいなさから、うつ状態になった。医師に「たまには気分転換に海や森林に行ってみてはどうか」という提案をもらった。真司は生まれたときから現在まで都会で暮らしてきたので、日常的に自然に親しんだことがなかった。

 

 

 

 

田舎暮らしを決意

 

 真司は沖縄の離島へ家族を連れずに1人で旅行し、南の海を満喫した。沖縄からもどると、今度は山に行き、精神的に浄化された気分になった。その後も森林に行くなどして、自然を満喫した。自然の中にいると、とても自由な発想が浮かんできた。不思議なくらいに、生きてゆく自信がわいてきたのだ。

 

 そして、真司は家族と一緒に田舎暮らしをする決心をした。そのことを妻や子供たちに伝えると、とても喜んでくれた。自宅のマンションを売り払い、自然豊かな田舎に家を買って暮らすことにした。そこで、どんな仕事でもする覚悟だった。

 

 真司は古民家を買った。天井には太いハリがあり、風情のある家だ。子供たちのために鶏を飼い、鶏の産んだ卵を食べようと考えた。古きよき田舎の生活を夢見たのだ。

 

 

未体験の苦痛

 

 新しい家でパソコンを使うためにコンセントが必要になった。真司は配線工事を頼むために近所の電気屋に電話をすると、「あんたは地元の人間じゃないからやらない」と断られてしまった。異様なものを感じたが、どうしようもなかった。仕方がないので、住んでいる場所から離れた土地の電気屋に依頼した。真司は「今後もこういう差別をされるかもしれない」と思った。

 

 仕事はなかなか見つからなかった。真司は資格を持っているわけでも職人でもなく、求人募集自体が少なかった。庭に小さな畑を作ったが、野生のイノシシやシカに食べられてしまう始末。子供が風邪をひいたので病院に連れていったが、医師は年老いていて不安になった。大雨が降ったときは近所で土砂崩れがあり、恐怖を感じた。

 

 

致命的な出来事

 

 ある日、家の周囲で草取りをした。夜、寝ていると腕があまりにもかゆいので、明かりをつけると、腕に赤い虫刺されのような跡が無数にできていた。翌朝、近隣に皮膚科がなかったので、以前住んでいたところの皮膚科に行った。医師に診てもらって安心したが、近くに専門医がいないことにあらためて不安を感じた。

 

 それから、しばらくすると台風で屋根の一部が吹き飛んでしまうという出来事があった。ホームセンターでブルーシートを買って応急処置をした。近所の工務店に修理を頼むと、見積りに来てくれた。だが、ほかの家の修理で忙しく、真司の家にはなかなか来てくれなかった。しびれを切らして工務店に電話をすると、「そんなに急ぐならできない」と断られてしまった。

 

 真司は「ここでの生活は無理だ」と強く感じた。しかし、それをすぐに家族には言えないでいた。自分が田舎暮らしをしようと言い出したからだ。責任を感じ、「逃げたい」と言えなかった。真司は気力がなくなり、再びうつ状態になった。

 

 

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●文/河田俊男(かわだ としお)
1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。

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