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ココロの座標/河田俊男

第55回「結婚を考える」

人の心が引き起こすさまざまなトラブルを取り上げ、その背景や解決方法、予防策などを探ります。(2020年10月22日)

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 結婚は人生で最も大きなイベントの1つであり、共に生きていくパートナーを選ぶ大切な選択だ。しかし、大事なのは結婚した後である。結婚はゴールではなく、スタートだ。

 

 

上司の優しい言葉

 

 旅行関連の会社で働く香奈は36歳で、お見合いサイトで出会った相手と半年前に結婚した。会社の上司は結婚をとても喜んだ。彼女が必死で、結婚相手を探していたことを知っていたからだ。上司は「結婚おめでとう。子供ができたら、いつでも出産休暇、育児休暇を取っていいから」と親切心から言った。

 

 だが、香奈は結婚生活がいつ破綻するか、不安だった。一緒に暮らしていても、夫は1人でゲームをしたり、テレビを見るだけで、香奈とコミュニケーションをとろうとしなかった。付き合っていたときから兆候はあったが、結婚してからエスカレートした。セックスレスで妊娠どころではなかった。

 

 ことあるごとに結婚生活に触れてくる上司の存在は苦痛になり、避けるようになった。顔を見ると腹痛が起きるからだ。上司の言葉は彼女の心を傷つけ、心理的な暴力となっていった。

 

 

 

 

玉のこしに乗る

 

 28歳の弥生は看護師で、ファッションモデルのように容姿端麗だった。彼女は勤務していた大きな病院の御曹司と結婚することになった。周囲は玉のこしと大騒ぎとなり、両親も大喜びだった。弥生は仕事を辞め、夫の両親の住む豪邸で同居することになった。

 

 ある日、夫と義母と3人で食事をしていると、義母が「あなたは身一つで嫁いできたわね。私は持参金とこの家の土地を持ってきたけど」と言った。
 お金は義母が管理していた。生活に必要なものを買うときには、買い物リストを義母に出してお金をもらい、買い物が済んだらレシートとおつり渡した。自分の自由に使えるお金はないので、看護師をしていたときに貯めていた預金を使った。

 

 やがて弥生はうつ状態になり、近所の目があるので別荘で暮らすことになった。憂さ晴らしに、無断で夫のカードを持ち出して散財した。その後、彼女は離婚し、うつ病とアルコール依存を克服するための治療に入った。

 

 

関係性のゆがみ

 

 問題はさまざまな原因が複合している。関係性のゆがみやストレス、結婚生活での価値観のズレなどが複合して、心理的な暴力が起きてしまう。
 結婚当初はいい関係だったのに、徐々に関係が悪くなることがある。その原因の1つに、相手に対する「過剰な期待」がある。自分で勝手に期待して、それが裏切られると急に憎んでしまうのだ。そうしたことで関係性がゆがみ、無意識的に相手に心理的暴力を働き、心を傷つける。それが徐々に繰り返され、エスカレートしていく。

 香奈と弥生のケースは、それぞれの夫との関係性においても身勝手な期待が関係していたかもしれない。

 

 

旧来の価値観

 

 香奈はさまざまな婚活サイトや結婚相談所を利用して、28歳から8年間、結婚相手を探し続けていた。それに費やしたお金や時間は計り知れず、ようやく見つけた相手は貴重な存在だった。
 そのため、結婚生活が破綻していても別れることはできなかった。そんなストレスもあり、上司の言葉に傷ついたのかもしれない。上司の親切心は旧来の価値観から来ているものだった。結婚したら子供を作り、幸せな家庭を築くというものだ。現代には多様な生活スタイルや価値観があるが、まだそうしたことが分からない人々がたくさんいる。上司は、自分の言葉で彼女の心が傷つくなどとは想像もつかないだろう。

 

 

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●文/河田俊男(かわだ としお)
1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。

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