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厳しい労働環境などが指摘され、人材の定着に課題を抱えるところも多い介護業界。そうした業界にあって「最近、社員が辞めなくなった」のが、福岡市にあるディアマインドだ。なぜ、どうして、定着するのか。その裏には、社長が創業以来もち続けてきた理念のもと、「仕事を通じて自分磨き」をする社員の姿があった(取材・写真・文 アイデム人と仕事研究所 所長 平田未緒)。
社員の4分の1は5年以上勤務者
「だんだん、人が辞めなくなってきました」
デイサービス施設3事業所を運営する株式会社ディアマインドの代表取締役濱田民子さん(写真)は振り返る。
現在、正社員が15人。パート等28人。うち、5年以上勤務者が10人を占める。人の定着を課題とする介護福祉施設にあって、定着率は高い。
「最初は、辞めていかれる方も多かったんです。うちのような『人あってこそ』の業態で、突然退職されるのは、とてもつらい。でも、その人が当社にそぐう方でなければ、お引き留めはしませんでした。その分、新しい方の採用にはこだわり、だんだん『うちの社風』ができてきたと思います。それから、辞める人が少なくなりました」
「うちの社風」。それは、スタッフが、スタッフ同士のみならず、ご利用者にも支えられている感覚で働けている風土。要するに、全員が共に“支え合っている”気持ちで仕事をすることだという。
「赤ちゃん言葉で話す」のが介護?
濱田さんは言う。
「実は私は、介護の世界のことを何も知らずに、この事業を立ち上げました。今から約10年前、2002年のことです。私自身が大病を患い、緩和ケア病棟でボランティアをしていたことなどがきっかけでした。『最後まで居心地よく、その人がその人らしく生きていける場所』をつくりたい、という思いで、私と友人の看護師2人の計3人で始めたのです」
介護未経験だったからこそ、当初雇った介護業界経験者であるベテランスタッフの“上から目線”な対応が気になった。赤ちゃん言葉で話しかけることが、相手にとって心地よい介護ではない、と思ったのだ。
「デイサービスにお越しくださるお年寄りは、日本を作り上げてきた方です。また、人生の大先輩でもあります。仮に認知症を患われていても、皆さんスタッフである我々の気持ちや心構えを見抜かれます。暴力や暴言が日常だった方でも、こちらから心を開き、笑顔でその方のなかに入るように接すると、涙を流して感動してくださったり、こぼれるような笑顔で喜んでくださったりするのです。こうした場面に立ち会うたびに、思ってきました。支えられ、育てられているのは、私たちスタッフの方なんだ、と」
こうした思いを共有できるスタッフが増え、同業他社での“ベテラン”が減り、雰囲気は目に見えて変わっていった。
教育とは、ダイヤの原石を磨くこと
介護は人の命をあずかる仕事。技術や知識、責任感に関しては、当然、プロでなくては、務まらない。経験者を採用しない分、人材育成の重要性は、より大きくなってきた。ご利用者さまと“いかに心を通じ合わせるか”を大事にする同社の場合、こうした極めて人間的な部分においても、スタッフの成長を促す必要がある。
「育成は、スタッフ本人がもともと持っている力を活かす方向で行っています。ああしなさい、こうしなさい、ではなく『自分磨きをしようよ』『お互いに磨き合おうよ』と伝えています。この点、人生の大先輩であり何でもお見通しのご利用者さまは、素晴らしい師でいらっしゃいます。この仕事は、ウラ・オモテがある人には務まりません。こんなに楽しい仕事はないと私自身が強く思い、それをスタッフにも伝えています」
自分磨きとは要するに、スタッフ個々が、そもそも自分に備わっている力を、顕在化させていく作業である。要するに、ダイヤの原石を磨き上げていくようなイメージだ。
「本人がどう考え、どう動こうとしているのかを重視しています。規則でがんじがらめにするのではなく、命令で動くのでもない。お仕着せも、押しつけもダメです。そうではなく、皆が意見を出し合いながら進めるのです」と濱田さん。
もちろん、役割分担は必要だ。例えば、濱田さんは会社の代表という役割。リーダーという役割を担う人、具体的な業務を担当する役割の人もいる。でも、どんな役割でも、ディアマインドを、「最後まで居心地よく、その人がその人らしく生きていける場所」にする、という目的は同一だ。
「目的が一緒なら、それが10年選手でも、入社1年目の新人でも、もちろん私も、自由に意見し合えればいいと考えています」
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所在地/福岡県福岡市南区屋形原4丁目33-7(合同会社ディアマインド)
福岡県福岡市博多区那珂1丁目3-37(株式会社ディアマインド)
設立/合同会社2002年 株式会社2011年
従業員数/43人(うちパート28人)
資本金/合同会社100万円、株式会社300万円
年商/1億1000万円(2012年12月期/2社合計)
事業内容/デイサービス、ケアプランセンター、訪問介護事業部の運営
ホームページ/http://kirakuya-web.com/
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