ダイバーシティは競争力の源泉〜仕事と育児の両立支援〜/日産自動車株式会社
日産自動車では、トップがダイバーシティを経営戦略として位置づけています。ダイバーシティに関する同社の取り組みを紹介します。
経済産業省では、2012年度から「ダイバーシティ経営によって企業価値向上を果たした企業」を表彰する「ダイバーシティ経営企業100選」を実施している。3年かけて累積100社の表彰を目指すとしており、初年度は43社が選ばれた。
日本の代表的な産業である自動車メーカーでは、日産自動車が選ばれた。
発表を受けて同社は即日リリースを出した。リリースによれば、「女性の活躍推進をはじめ、グローバルに人財を発掘・育成、中途採用による多様な視点の強化、製造現場のリーダー育成と高い技術伝承、また育児と仕事の両立従業員のさらなる活躍支援として3拠点に事業所内託児所を設置するなど、多様な従業員が活躍する環境の充実に取り組んでいます」としている。
多様性をビジネスに生かす
ダイバーシティとは、多様性という意味だ。近年、顧客ニーズはますます多様化し、ビジネス環境は変化し続けている。そうした時代の流れから、性別や国籍、年齢、障害などの外面的な違いや性格や価値観、生い立ちなどの内面的な違いといった、個々人の多様性をビジネスに生かそうという動きが広がってきている。
同社は「ダイバーシティを日産の競争力に」というスローガンを抱え、多くの取り組みや制度を設けている。育児休職取得者の復職をサポートするセミナーの開催、両立支援のための社内SNSの運営、家族のための休暇制度、社内託児所「まーちらんど」の運営、育児・介護のための在宅勤務制度、休職中のPC貸し出しと社内イントラネット閲覧などだ。同社広報部に、特に女性社員の活用について聞いた。
「現在、日本の自動車市場では女性購入者の比率が増大し、当社の調べでは全体の車購入決定の約6割に女性が強く関与しています。したがって、多様なお客さま、特に女性のお客さまの視点に立った魅力的な商品やサービスを提供するためには、社内にもっと女性を増やし、意志決定に参画してもらうことが必要です。また、今後の高齢化・少子化社会においても、企業としての優秀人材確保のためには男性だけでなく、女性の企業活動への参画は不可欠であると考えています」
利用されなければ意味がない
日産自動車ダイバーシティディベロップメントオフィスの塩田麻衣子さんはこう言う。
「日産はトップがダイバーシティを、経営戦略そのものと位置づけています。そのもとで、今の部署では、新任課長研修で管理職としてダイバーシティの理解を深めるようなプログラムを入れたり、イントラネットのダイバーシティサイトや、社内SNSでダイバーシティマインドを醸成したりするなど施策を実施しています。制度を設定したけれど知られていない、利用されていない、利用すると評価が下がる、というのでは意味がないので、それをサポートしていくことが必要だと思います。このサポートが私たちの部署の仕事になります」
日産自動車ダイバーシティディベロップメントオフィスの塩田麻衣子さん
塩田さん自身、半年前に育休から復帰した
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●日産自動車株式会社
本社所在地/神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地
設立/1933年
従業員数/2万4240人(単独ベース)、15万7365人(連結ベース)
事業内容/自動車、船舶の製造、販売および関連事業
ホームページ/ http://www.nissan-global.com/JP/
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