グローバル時代の社内コミュニケーション・マニュアル書
年間1000冊のビジネス書を読む出版コンサルタントの土井英司さんが、人材の活用や育成などをテーマしたビジネス書を厳選して紹介します。
★今月の1冊
『大前研一の今日から使える英語』
監修:大前研一
出版社:小学館
(237ページ/本体1,600円+税)
いよいよ国内市場がシュリンク(縮小)し、グローバル市場への進出を余儀なくされている日本企業。「英語を社内公用語に」という動きもあるようですが、実態はなかなかうまく行かないようです。
今月ご紹介する1冊は、元マッキンゼーの日本代表、大前研一氏が企画した英語コミュニケーションの本。氏が主宰する「ビジネス・ブレークスルー(BBT)大学」のオープンカレッジ「実践ビジネス英語講座」の講師陣が、ビジネスの現場で本当に使える英語を指南した、ハイレベルな1冊です。
NHKラジオ「入門ビジネス英語」の講師を務める関谷英里子氏のワンランク上のビジネス英単語、グローバルリーダー育成で知られる船川淳志氏の実践英会話術、大前研一氏がすすめる「You」を「I」 にして表現を和らげるコツ、狩野みき氏による婉曲表現、松崎久純氏によるビジネスEメールの極意…。どのコンテンツもひとひねりしていて、もはや単なる「英語の勉強」を超えたレベル。なかでも、船川淳志氏の、日本人がやりがちな「失敗シーン」を 「成功シーン」に変える英語表現は、本当にためになります。
・推論を述べる時にPerhapsを使ってはいけない ※使うならprobably
・挨拶で「今後の課題」について話す場合は、前向きなchallengeを使う
・「had better not?」は警告のニュアンス
船川氏によると、学校で「たぶん」と習った「perhaps」は、可能性はあるけれども確実性が低い「もしかしたら」くらいのニュアンス。ビジネスで使うなら「probably」がふさわしいとのこと。また、「問題」「課題」という場合に、日本人は「problem」「difficulty」を使ってしまいがちですが、「今後の課題」について話すなら、前向きな「challenge」が正解。これによって、「挑戦しがいのある課題」というニュアンスになり、力強い印象を聞き手に与えることができるのだそうです。
さらに、受験英語で頻出の「had better not〜」(〜しない方がいい)は、実は脅迫めいたニュアンスになるそうで、ビジネスの場では避けたほうが良いようです。もし、御社が海外に派遣したマネジャーが、現地でこんな失礼なことをして、その結果、従業員のモチベーションを下げていたとしたら、恐ろしいですよね。
※次ページ以降の閲覧には、会員登録(無料)が必要です
●土井英司(どい えいじ)
出版コンサルタント、ビジネス書評家、エリエス・ブック・コンサルティング代表取締役。1974年生。慶大卒。オンライン書店アマゾンの日本サイト立ち上げに参画。数々のべストセラーを仕掛け、カリスマバイヤーと呼ばれる。現在、出版コンサルタントとして著者のブランディングからマーケティングまでをトータルで行う。プロデュースした書籍に、100万部を突破した『人生がときめく片づけの魔法』、シリーズ累計37 万部を突破した『年収200万円からの貯金生活宣言』など多数。著書に『成功読書術』(ゴマブックス)、『土井英司の「超」ビジネス書講義』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。
http://eliesbook.co.jp/bbm
この記事のキーワード
クリックすることで関連する記事・データを一覧で表示することができます。
一覧ページへ戻る
その他のコラム記事を見る