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ココロの座標/河田俊男

第29回「熱中症から“うつ”に?」

人の心が引き起こすさまざまなトラブルを取り上げ、その背景や解決方法、予防策などを探ります。(2018年8月29日)

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 最近、日本の夏は猛暑、酷暑になっている。熱中症には、十分に気をつけなければならない。特に子供や高齢者は、症状が重ければ死の危険すらある。炎天下で仕事をする人は、しっかり対策をする必要がある。

 

 

新人が熱中症に

 

 35歳の太一は、屋根のリフォーム会社に勤務して10年になるベテランだ。その日は朝から暑く、新人2人を連れて現場に向かった。昼に35度を超えるという予報があり、2人には熱中症に気をつけるように声をかけた。

 

 午前中は、なんとか予定の工程をこなした。ところが、昼食のときに新人の1人が体調を崩した。彼は朝から頭痛や立ちくらみがしていたが、よくあることなので「気にしていなかった」という。休憩させても具合がよくならなかったので、病院に連れていった。すると、医師に熱中症と診断され、病院で様子を見ることになった。

 

 それからは熱中症に注意して作業をし、無理をしないようにした。誰も熱中症にならなかったが、しばらくすると太一は体調が優れず、仕事を休むようになった。朝から気力がなく、うつ病になってしまったのではないかと不安になった。

 

 

 

 

 

定年後の仕事

 

 定年を迎えた幹雄は、うつ病にかかっていた。発端は、退職で環境が大きく変化したことや、社会的なつながりがなくなってしまったことなどがあった。通院しており、薬も処方されていた。

 

 そんなある日、インターネットで警備員の募集を知った。幹雄には、社会の役に立ちたいという思いがあった。高齢の自分でも雇ってもらえるのではないかと考え、早速面接に行くと採用された。研修を終え、建設や道路工事の現場に派遣された。

 

 その日、昼は38度にもなるという予報で、会社からは熱中症に注意するように言われていた。現場に出勤する前、幹雄はペットボトルの水を買い求めた。ところが昼ごろ、急に体調が悪くなり、勤務中に倒れこんでしまった。幹雄は、救急車で病院に運ばれた。重い熱中症になってしまったのだ。

 

 炎天下での仕事に慣れていない幹雄は、水を飲むことを意識しておらず、仕事中はペットボトルを携帯していなかった。熱中症になったとき、幹雄は体がけいれんして、軽い意識障害を起こした。そんな経験をしたので、警備員の仕事は辞めることにした。

 

 

問題はなにか?

 

 太一は完全な夏バテで、医師から自律神経失調症と診断された。熱中症には気をつけていたが、作業中に体を冷やしたり、サングラスをするなど、紫外線の予防対策をまったくしていなかった。酷暑の中、連日強い紫外線を大量に浴び続けながら作業をしていたので、疲労していた。その疲労が蓄積し、自律神経失調状態になった状態を、うつ病と勘違いしたのだった。

 

 一方、幹雄は抗うつ薬を処方されており、倒れた日も飲んでいた。また、汗をあまりかかないタイプで、普段から頻繁に水を飲むほうではなかった。
 精神薬を服用している人は、熱中症にとってハイリスクだ。熱中症で死亡するリスクが、普通の人よりも30%高くなってしまう。また、幹雄は発汗しにくい体質で、熱を放出しにくく、薬が高体温を誘発する可能性もあった。

 

 

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●文/河田俊男(かわだ としお)
1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。

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