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人の心が引き起こすさまざまなトラブルを取り上げ、その背景や解決方法、予防策などを探ります。(2020年4月23日)
次々に辞めていく
ある公共施設で、職場いじめの問題が起こった。若い新人のパート職員が勤務して6カ月ほどすると、軽いうつ状態を訴えた。その施設ではやる気のある若い人たちが、次々に精神的に壊れていった。いじめは加害者と被害者が2人だけになったときに起きていた。
加害者とされるのは非常勤の中高年女性で、若くて恵まれた容姿の男女をいじめていた。ある被害男性は激しい頭痛で夜も眠れず、気力がわかなくなってしまった。病院では頭痛、うつ病と診断され、休養が必要とされた。ある女性従業員は、激しいめまいや吐き気を訴え心療内科を受診。医師からしばらく職場を休むように指示された。
どんないじめがあったのか、方法も理由も分からなかった。共通していたのは、被害者たちは、面倒なことに巻き込まれたくないと考えていたことだ。そのことで仕事を失いたくないという思いだった。だから彼らは、配置転換を希望しただけだった。
シャーデンフロイデとは?
いじめの加害者とうわさされている中高年女性は、公共施設の非常勤職員だった。彼女は仕事ができ、人あたりもよく、同僚や上司とも仲がよかった。施設利用者にも、親切な人という評価を得ていた。そのため、施設はいじめを想像できず、直接本人に問いただすこともしなかった。
科学的な見地からいじめを捉えると、「シャーデンフロイデ」という病んだ感情に関係していることが分かってきた。「シャーデンフロイデ」とは、例えば同僚がミスをしたとき、バカなヤツだなと思うと同時に、愉快な気分になるような感情である。あるいは上司をセクハラ加害者呼ばわりし、その地位から引きずり下ろしたときに心の底から喜びを感じるなど、病んだ感情のことだ。
実は、いじめの加害女性は過去に夫の不倫で、離婚をした経験があった。後に彼女は不倫のPTSDになり、男性に対する憎しみが残ってしまった。そのため、女性からチヤホヤされている男性に無意識的な敵意を感じ、精神的にいじめて喜びを感じていたと考えられる。また、若くて将来性のある美しい女性に嫉妬心を感じていた。
妬みの脳科学
他人の失敗を喜ぶ心理は、脳科学的にも証明されている。妬みの感情には、脳の前部帯状回と呼ばれる場所が活動することが分かった。その場所は、葛藤や身体的な痛みに関連している。妬みの対象となる人に不幸が起こると、脳の線条体と呼ばれる場所が活動することも分かった。その線条体は報酬に関連している。つまり、人を妬めば脳は痛みを感じ、妬みの対象者に不幸な出来事が起これば痛みはなくなり、安心を感じるのだ。
また、妬みによって脳の活動が高まる人ほど、他人の不幸に対して線条体が強く反応することも分かってきている。つまり、脳にとっていじめ行為は、妬みという痛みに対する鎮痛剤のような役割を果たすのだ。
加害女性の脳内では、若い将来性のある人を妬み、彼らをいじめることで脳を快適にし、心を安定化させていた可能性がある。
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●文/河田俊男(かわだ としお)
1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。
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