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ココロの座標/河田俊男

第10回「新年会が怖い」

人の心が引き起こすさまざまなトラブルを取り上げ、その背景や解決方法、予防策などを探ります。

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 女性の中に、男性ばかりいる居酒屋や食堂には、どうしても1人では入れないという人がいる。「なんとなく恥ずかしい」と言うのだ。何が恥ずかしいのか、男性にはなかなか理解できない。同じように、人には他人が理解できない感覚や恐怖心がある。

 

 

 

他人とは食事ができない

 

 26歳の綾香は、入社して半年になる会社の新年会を怖がっていた。新年会のことを考えると、仕事も手につかないと言う。忘年会は仮病で欠席したが、同じ手は使えない。どうやって欠席するか、悩んでいた。彼女は他人と一緒に食事をすることに、強い恐怖心を持っていた。

 

 以前、働いていた会社は、それが原因で辞めた。昼食を従業員専用の食堂でとらなければならなかったからだ。食堂で他の人と一緒に食事することは、彼女にはあまりにも苦痛だった。

 

 綾香は、家族以外の他人と食事をすることができなかった。他人と食事をすると、恐怖心からめまいや吐き気がして、その場にいられなくなってしまうのだ。どうしても新年会に出席しなければならないのなら、また会社を辞めるしかない。綾香は苦しんでいた。

 

 

 

 

女性同士の食事会

 

 36歳の慶子は最近、夫の会社関係の食事会に参加することが苦痛でたまらなかった。メンバーは夫の同僚の妻たちで、2〜3カ月に1回開催される。

 

 以前から慶子は、よく知らない人と食事をすると自然な笑顔が出せず、顔が引きつってしまうことがあった。それを見られるのが嫌で下を向いて食事をすると、今度は人に「どう思われているか」が気になる。やがて息苦しくなり、席を立たざるを得ないこともあった。

 

 食事会の話題が家柄や家族の自慢話ばかりというのも、慶子にはついていけなかった。夫に相談すると「聞き流せばいいんだよ」などと言うが、実際のところ、夫は彼女の悩みをまったく理解していなかった。

 

 もともと慶子は家族以外では、幼なじみとしか食事をしなかった。だが、夫の手前もあり、食事会に参加しないわけにはいかない。無理をした結果、外で人と会うことに恐怖を感じるようになった。そして家事も手がつかなくなり、うつ状態にまでなった。

 

 

 

食事中の会話

 

 私たちは家で食事をするとき、会話をしているだろうか。テレビやスマホなどを見ながら、無言で食事をしていないだろうか。食文化は地域や家庭で違いがあり、それぞれの作法もある。食事中は無言で食材の味に意識を集中して食べるという文化もあれば、楽しく会話をしながら食事をするという文化もある。

 

 料理を味わいながら楽しい会話をするには、それなりの技術が必要だ。家庭で子供の頃から、自然に訓練している人間にとっては取るに足らないことだが、食事中に会話せずに育った人間にとっては難しい。

 

 

 

食事をするとは?

 

 そもそも、食事とはどんな行為だろうか。食事中、人は無防備になり、素の自分になってしまう。人によっては、裸を見られるような感覚になり、恥ずかしくなる人もいる。だから、家族には見せられるが、会社などの社会的な関係では見せられない人がいる。

 

 唐突な例えだが、飼い犬でも食事をしているときは、飼い主が近づいても威嚇してくる場合がある。食事とは動物にとって、獲物を殺して食べるという最も原始的な行為だ。野生動物は獲物を食べて生き残り、子孫を作っていかなければならない。彼らにとって食事は本能そのものだ。もちろん人間にとっても、食事は本能だ。他人との食事は、本能を見られることと言える。家族以外の他人には、見られたくない気持ちになっても不思議ではない。

 

 

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●文/河田俊男(かわだ としお)
1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。

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