採用面接で、応募者の中から「自社に合った人をどう見極めるか?」について、実践的な方法や企業が考えておかなければならないポイントを解説します。(2026年10月1日)
私はこれまで30年以上にわたって約2万人の方と採用面接をしてきました。こう書くと「面接の達人」のように思われるかもしれませんが、実際はまったく逆です。やればやるほど、人が人を短い時間で見て評価することの難しさを思い知らされてきました。「この人はいける」と思った方が入社後に苦労し、「大丈夫かな」と心配した方が大活躍する。恥ずかしながら、そんなことは日常茶飯事です。
面接は評価の精度が高くない
そんな面接という選考手法ですが、最初に率直に申し上げますと、面接は評価の精度があまり高くない手法であることが分かっています。
実際、採用選考の研究等を見ると、入社後に求められる仕事をその場でやってもらう「ワークサンプル」が最もよく当たり、私たちが普段やっている自由な会話型の面接は、最も当たらない部類に入ることが知られています。
私がリクルートで採用責任者をしていたころ、面接の評価と入社数年後の人事評価の関係を調べたことがあります。結果はほとんど関係なし。関係があったのは適性検査の一部の尺度だけで、上司から「もう面接なんてやめたほうがいいのでは?」という声が漏れたほどでした(冗談半分ですが)。
他にも、ある有名なベンチャー企業では、面接官ごとに「面接の評価」と「入社後の活躍」の関係を調べたところ、創業社長が最も当たらないことが分かり、社長自ら面接から外れたという話も聞きました。仕事ができることと、人を見抜けることは、別の能力なのです。
なぜ当たらないのか?
採用面接の精度が低いのは、主に「心理的バイアス」、つまり、人には「自分と似た人を高く評価する」「最初の印象で決めてしまう」「一度そう思うと、その考えに合う話ばかり拾う」といった「偏り」が、誰にでも無意識に働くからと言われています。「5分話せば分かる」と豪語する方がいますが、それはこの偏りが作り出した「分かったつもり」であることがほとんどです。
そして、そもそも面接で測れないものもあります。例えば頭のよさ。研究によれば、面接で高く評価されるのは明るく落ち着いた人であって、知的な能力は面接の評価にあまり反映されません。自分より頭のいい人の頭のよさは、そもそも評価しにくいからです。
ストレスへの強さも同じです。面接という特殊な場でのストレスと、日々の仕事のストレスは別物ですから、圧迫面接をしても仕事での強さは分かりません。志望度に至っては、選考の初めの段階で「志望」している人などほとんどいません。「ちょっと気になったから」来てくれたにすぎないのです。
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●文/曽和利光(そわ としみつ)
株式会社人材研究所代表、人事コンサルタント
大学卒業後、リクルート、ライフネット生命保険、オープンハウスなど、さまざまな企業で採用や人事、組織開発の責任者を務める。2011年、人事コンサルティング会社、株式会社人材研究所を創業。大手から中小、外資系、ベンチャー、官公庁など、多くの組織に向けて人事や採用のコンサルティング・研修・講演を行っている。著書に『採用に強くなる』(日経文庫)、『人材の適切な見極めと獲得を成功させる採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)、『人事と採用のセオリー』(ソシム)など多数。