成長企業が、社員に伝えていること
年間1000冊のビジネス書を読む出版コンサルタントの土井英司さんが、人材の活用や育成などをテーマしたビジネス書を厳選して紹介します。
こんにちは、土井英司です。このコーナーでは、毎回テーマを決めて1テーマにつき3冊の関連書をご紹介しています。 今月は、「成長企業が、社員に伝えていること」が分かる本を3冊ご紹介します。グーグル、ファーストリテイリング、ニトリホールディングス…。それぞれ社風は違いますが、本からは企業が従業員に何を期待しているか、どんな人材になってほしいかが明確に書かれています。さっそくご紹介しましょう。
まず1冊目は、グーグルの人事担当上級副社長、ラズロ・ボックが書いた全米話題の書、『ワーク・ルールズ!』。グーグルの採用や評価に関して、興味深い情報が載っていますが、注目したいのは、後半に書かれている<あなたのチームや職場を変える10のステップ>。
★ワーク・ルールズ!(ラズロ・ポック 著 鬼澤 忍・矢羽野 薫訳/東洋経済新報社/定価2,138円)
原書と邦訳、両方読んでいるので、対訳でご紹介しましょう。
1.Give your work meaning(仕事に意味をもたせる)2.Trust your people(人を信用する)3.Hire only people who are better than you(自分より優秀な人だけを採用する)4.Don’t confuse development with managing performance(発展的な対話とパフォーマンスのマネジメントを混同しない)5.Focus on the two tails(「2本のテール」に注目する)6.Be frugal and generous(カネを使うべきときは惜しみなく使う)7.Pay unfairly(報酬は不公平に払う)8.Nudge(ナッジ―きっかけづくり)9.Manage the rising expectations(高まる期待をマネジメントする)10.Enjoy! And then go back to No.1 and start again(楽しもう! そして、1に戻って繰り返し)
「2本のテール」というのは、最も優秀なプレイヤーと最も業績が悪い人で、社員に優秀なプレイヤーのまねをすることを奨励、成績が低い人を見たら学習を支援するよう促しています。 そして2冊目は、「ユニクロ」を擁するファーストリテイリング社が、急成長を支える人材を育てようとまとめた『経営者になるためのノート』。もともと社内資料だったということもあり、書いてある内容は恐ろしく具体的かつ実践的です。小売店を経営する企業なら、きっと参考にしたい教えが、たくさん書かれています。
★経営者になるためのノート(柳井正 著/PHP研究所/定価1,300円)
お店の経営に関して書かれた部分をご紹介しましょう。
自分たちの店は、世界で一番きれいか。自分たちの店は、世界で一番買い物がしやすい店か。自分たちの接客は、世界で一番気持ちのいい接客か。自分たちの商品は、世界で一番付加価値の高い商品になっているか。自分たちの工場は、世界で一番品質のよいものを作れる工場になっているか。自分たちの管理システムは、世界で一番優れたシステムになっているか。
※次ページ以降の閲覧には、会員登録(無料)が必要です
●土井英司(どい えいじ)出版コンサルタント、ビジネス書評家、エリエス・ブック・コンサルティング代表取締役。1974年生。慶大卒。オンライン書店アマゾンの日本サイト立ち上げに参画。数々のべストセラーを仕掛け、カリスマバイヤーと呼ばれる。現在、出版コンサルタントとして著者のブランディングからマーケティングまでをトータルで行う。プロデュースした書籍に、100万部を突破した『人生がときめく片づけの魔法』、シリーズ累計37 万部を突破した『年収200万円からの貯金生活宣言』など多数。著書に『成功読書術』(ゴマブックス)、『土井英司の「超」ビジネス書講義』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。http://eliesbook.co.jp/bbm
この記事のキーワード
クリックすることで関連する記事・データを一覧で表示することができます。
一覧ページへ戻る
その他のコラム記事を見る