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人の心が引き起こすさまざまなトラブルを取り上げ、その背景や解決方法、予防策などを探ります。(2019年11月21日)
最近、関東でも台風で大災害が起きている。温暖化などによる気候変動の影響だろうか。栃木県の佐野で川が氾濫した。被災住宅のボランティアに入った外国人が「同じ人間だから、大変なときに手伝いに来た」と言っていた。なんと美しく、重い言葉だろうか。
災害PTSDなのか
52歳の久雄が経営していた工場が被災した。台風の影響で川の水があふれ、工場内に入り込んだのである。隣接した自宅も被災し、大きなストレスがかかった。家族のためにも、家を建て直さなければならない。しかし、そのためには、工場を再建して仕事を再開しなければならない。従業員の生活もある。考え始めると、頭痛やめまいがしてきた。
最初のうちは、気を張って工場や自宅の片づけをしていたが、被災から1カ月ほどすると精神的な疲れが出てきた。今後どう生きていけばいいのか、久雄は大きな決断をしなければならない。工場の再建には多額の費用が必要で、自宅の再建にもお金がいる。それほど蓄えがあるわけでもない。
久雄は混乱して何も考えられない状態になり、浴びるように酒を飲むようになった。眠れない日々が続いているが、何も手につかない。誰にも相談できず、やがて気力を失った。会社は父親から受け継いだもので、振り返ってみれば、今まで社長しかやったことがなかった。新しい生き方など、想像もできなかった。
久雄の悪夢
久雄は、よく悪夢を見るようになった。災害にあう前、長く働いてくれた職人をリストラしていた。経営環境は厳しく、生き残るためには会社を合理化し、人件費を削減しなければならなかった。どの会社でもやっていることだ。久雄はそう思い、リストラを行ってきた。その対象者たちが夢に出てくるのだ。
どうして、彼らをリストラしてしまったのだろうか。久雄は自分を責めた。リストラされた人たちにも、明日の暮らしがある。そんなことを考えもしなかった自分がいた。
極端なことを言えば、自分の生活が守れれば、他人のことなどどうでもいい。そんな考えがあったことに気づいた。「会社のため」とは、なんだろうか。会社の存続のために、あたかも物のように人を扱う。そんな自分に腹が立ち、あまりの嫌悪感に吐き気がした。自分は拝金主義で、会社のためなら人を犠牲にしてもかまわない。そんな悪魔のような考えを持っていたのではないか。
久雄は自分が被災し、何もない状態になって初めて、そんな思いが浮かんだ。リストラされた人たちの気持ちが分かるようになった。久雄は自分を責め続け、うつ病になった。
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●文/河田俊男(かわだ としお)
1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。
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