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アイデム人と仕事研究所の研修部門の所員が、日々の業務やお客さまとの対話から感じたことなどをつづります。
「ウチの上司は、いまだに雑務しかさせてくれない…」
ご支援先A社様の入社半年を過ぎた新入社員(2017年4月入社)Bさんの言葉です。どこにでもありそうな入社半年が過ぎ、何となく職場にも慣れてきた新人ならではの悩みかもしれません。A社様の職場の教育係は先輩社員Cさんです。新人を育て上げる責務、それは当然ながら新人を預かった先輩社員Cさんにあります。
ただ新人を育てたいのは山々ながら、自分自身もプレイヤーとしての業務があります。いきおい、Bさんに何かを依頼しようとしたら雑務になってしまうことがあるかもしれません。しかし、実は、Bさんが思っている雑務は、雑務のままにするか否かは、Bさん次第でもあるのではないでしょうか。
「作業」を「仕事」に昇華する方法
雑務、単純作業のような「作業指示」を敢えて「仕事指示」と受け止め、指示内容の目的、目標(ゴール)を確認することで機転の利いた対応を提案することができます。いわゆる「作業」を「仕事」に昇華する方法です。
業務指示には大きく2種類あります。「作業指示」と「仕事指示」です。「作業指示」は、事細かな詳細を示してこのように進めてください、というものです。対して「仕事指示」は、業務概要を示して後の進め方は相手に任せる、といったものです。Bさんのような新人さん、あるいはアルバイトさんのような方々には、大半の指示は「作業指示」が多いため比較的に具体的な内容が示されるでしょう。一方、一般の社員に対しては大半の指示は「仕事指示」のはずです。
では、「仕事指示」と「作業指示」との違いを事例で示してみましょう。Bさんに「コピー取りの指示」が先輩社員Cさんから出たと仮定しましょう。もしBさんがそのまま単純にコピー取りをしたとすると、それは言われたことをそのままやる単なる作業になってしまいます。反対に、Bさんが指示を受けたと同時に、先輩社員Cさんに目的、目標を確認したとしたらどうでしょうか。
例えば目的が、お客様先から仕事を依頼していただく為のプレゼンテーション資料の準備だったとします。さらに、そのプレゼンテーション当日までには充分な期間があったとします。すると、いろんな提案の可能性が浮かんでこないでしょうか。コピーをして必要部数をそろえることも、もちろん必要です。でも、それ以上にお客様が見て分かりやすく、見栄えも良くすることが大切だということも察しがつくはずです。
もしBさんにデザインセンスとパワーポイントの知識があるなら、元のデータファイルをもらって、プレゼンテーション用によりかっこいい資料に作り替えることもできるでしょう。資料を綴じるカバーなども工夫するなら、すばらしいプレゼン資料が完成するはずです。指示を受けて、それをそのまま「作業指示」と捉えるなら、単なるコピー取りに終わってしまいます。まさしく作業です。前述のような工夫も提案もできないことでしょう。目的、目標を確認し自ら積極的に提案をすることで、単なる「作業」を一つ上の「仕事」に昇華することができるのです。
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●文/波多野雅彦(はたのまさひこ)
アイデム人と仕事研究所 教育・研修企画/キャリアコンサルタント(国家資格)
大学卒業後、大手ゼネコンにて国内外建設プロジェクトの施工管理に従事。経営学修士号取得後、経営コンサルティング会社にて、経営体質改善・人材育成支援業務に携わる。現在、アイデム人と仕事研究所にて、教育・研修を通してお客様が目指す会社づくり、人づくりにお役に立てることを目指して日々業務に取り組んでいる。
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