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ココロの座標/河田俊男

第74回「ドゥームスクローリングの悪夢」

人の心が引き起こすさまざまなトラブルを取り上げ、その背景や解決方法、予防策などを探ります。(2022年5月24日)

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 ネットやテレビなどで悲惨なニュースを見たとき、心身ともに疲れた状態になったことはないだろうか。なぜそんなことになったのかを考え、答えを出せないまま、頭痛がしてくる。中には、そうした情報にどっぷりつかり、心に傷を受け、身動きができなくなる人もいる。

 

 

悪夢で起きる

 

 夜中、理江は悪夢にうなされて目を覚ました。地震で天井が崩れ落ち、自分が下敷きになって助けを求めている夢だ。彼女は阪神・淡路大震災を経験していた。地震直後、近くの実家に避難しようとして住んでいたマンションの外に出ると、あちらこちらで火の手が上がり、助けを求める人たちの叫び声が聞こえ、地獄のような光景だった。崩れた家の前で毛布にくるまっていたり、倒壊した家から家族を助けようとしている人たちがたくさんいた。理江は自分のことで精いっぱいで、無我夢中で実家に向かった。

 

 

 

 

 震災から月日が経過するにつれて記憶は薄れたが、最近、また思い出すようになった。きっかけは、ウクライナの悲惨な状況をテレビやネットで見ているうちに、自分が被災したときの風景と重なったことだ。やがて彼女はウクライナについて、頻繁に情報を得るようになった。しばらくすると職場でよくミスをするようになり、気力が落ち、毎日気分が悪くなっていった。精神科を受診すると、うつ状態と診断され、薬が処方された。

 

 

大震災の実態

 

 1995年1月17日、阪神・淡路大震災が発生した。国内で史上初のマグニチュード7を観測し、震源に近い神戸市の須磨区や中央区、東灘区などの被害は甚大で、兵庫県で死者6400人、負傷者は4万人にもなった。住宅や建物、高速道路などが倒壊し、広範囲で断水や停電も発生してライフラインは壊滅状態になった。

 

 理江は被災時のフラッシュバックが薄れるまで10年ほどかかったが、ウクライナの惨状を見たことで再発してしまった。さらに、ウクライナの情勢を追うことをやめられないドゥームスクローリングに陥ってしまった。

 

 

ドゥームスクローリングとは?

 

 ドゥームスクローリングとは、ネットやSNSでネガティブなニュースを検索し続けてしまう行為を指す言葉である。ネガティブな情報に触れることで不安や絶望、怒りなどのマイナスの感情を持つが、無意識に繰り返し見てしまうのだ。理江のようなPTSDを抱えた人間にとっては、再発の危険だけではなく、深刻なうつ病になる可能性のある行為だ。

 

 人間の脳は身を守るために、危険や恐怖に対して強い反応を示すようにできている。事件や事故のニュースを見てしまうのも、情報を得ることで緊急事態に備える自己防衛本能と言える。しかし、度を越して見てしまうのは、見逃せないという恐怖心や社会的なつながりが絶たれる不安感などからくる強迫観念のようなものだ。

 

 

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につづく

 


●文/河田俊男(かわだ としお)
1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。

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