予想が外れた兵庫県知事選、米大統領選
「政治と宗教、野球の話はするな」という話、耳にしたことはありますか。外国ではどうなのかは分かりかねるのですが、身近なところでは「意見の違いで感情的になりやすく、対立につながって相手を怒らせてしまう、あるいは自身が不機嫌になる」からじゃないかと思っています。
政治については、近年日本では積極的に政治に参加するよう声が上がるようになりましたが、「選挙に行ったか」は話が出ても、そこから自分が支持する政党等の話への発展はないことが多いのでは。この話、割と昔からあるようで、個人が様々な媒体から情報を収集し各々判断する、というスタイルがずっと変わっていない気がします。採用面接においても、配慮すべき質問になっているくらいですからね(※1)。
最近、ニュースを見て予想したことが「全く外れた!」という経験をしました。それも複数回。もしかしたら同じ経験をしている人がいらっしゃるかもしれません。直近では、兵庫県知事選。少し前は、アメリカ合衆国大統領選。その前にも、東京都知事選でも同じような流れを感じています。いずれも政治の話なのですが、本題はそこではないのでどうか感情的にならず読んでいただければ幸いです。
「番狂わせ?」の背景はSNS
上記にあげた3つの事例は、いずれも似た流れでした。話題になると、いずれかの候補者に注目が集まり、それがテレビニュース・新聞でも同様に持ち上げられる。が、実際には事前に報道されていた状況とは異なり、最終的に自分の中の予想と異なる結果が残る。いずれの場合も私自身は対象の地域外で、候補者を直接選ぶことはありませんでした。さらに、「直接は関係ないから」といった言い訳で、積極的な情報収集はせず、日々流れてくるニュースに目を通す程度でした。
いずれの事例も「番狂わせ?」の背景にSNSの発信がありました。立候補者本人の発信は、「SNSは拡散が速い」という特徴を活かした戦略によって、より多くの人に届くようになっています。水面下での動きが日々の「流れてくるニュース番組」には反映されず、一部の見解しか知れていなかったことが、私自身の「予想が外れた」原因では、と考えています。
2020年代に入り、スマートフォンの普及率は9割近くに上る現代。これに付随して、インターネットに触れる機会も増えています(※2)。人によって、あるいは年代によっては、テレビや新聞といった従来のマスメディアの利用を上回ることもあり、「インターネットからの情報収集」は生活になくてはならない存在となっています。今回、日本で起きた東京知事選での事例では、10代の方の投票率が高い状況だったようです(※3)。従来関心が薄いと言われていた若年層で政治に参加する意思を示す人が増えたことは、SNSがどれだけ大きな存在か示すバロメーターになりうるのではないでしょうか。
インターネットの情報は偏っている?
私が社会人になりたての頃、「新聞を読め」「ニュースに耳を傾けろ」「ネットは情報が偏っている」といった主旨のことを言われたのを覚えています。当時は今ほどソーシャルメディアも広まっておらず、サービスも今より少なく、「一部での利用がある」程度でした。歴史ある媒体のテレビ、ラジオ、新聞あたりは、インターネット発展前からその役目を果たしてきたことから、多くの人の信頼を集めています(※4)。一方、インターネット上の情報への信頼は高くなかったようです。
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●文/関 夏海(せき なつみ)
2014年、株式会社アイデム入社。東日本事業本部データリサーチチーム所属。パートタイマー募集時時給等の賃金統計や、弊社サービス会員向けの各種アンケート調査の企画・分析などを主に担当。雇用の現状や今後の課題についての調査を進める一方、Webサイトのコンテンツ・ライティング、労働市場に関する情報提供、顧客向け法律情報資料などの作成・編集業務も行っている。