私は自社媒体である求人広告の営業社員と共に行動する機会が多いため、彼らの商談の席で主に人事担当者や経営者の皆様からお話を伺う場面がしばしばあります。
求人募集の背景にある原因は、離職であることが多く、しかも少子化の影響がジワジワと出始めており、生産年齢人口(15歳〜64歳)の減少が更に採用を難しいものにしていると、日々実感しております。その席で人材育成の状況についてお聞きしたとき、返ってくる回答は大きく3つに分類されます。
(1)体制を構築している(社内でのOJTが中心、社内・社外講師による研修実施など)
(2)以前は定期的に研修を行っていた(景気の良かった頃は…、コロナ前までは…など)
(3)特に策は講じていない(必要性は感じつつも余裕がない、何から手を付けたらいいか…)
あくまで私のヒアリングによる肌感覚ですが、思った以上に(2)(3)の企業様が多いように感じています。近年は転職市場が賑やかで、とりわけ若年層の早期離職に苦慮されている企業は枚挙にいとまがありません。実際私どもが請け負う研修の背景には、離職防止がテーマになっているものがたくさんあります。
そこで今回は今一度原点に立ち返り、人材育成について、またそのための手段としての研修について、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。
社員研修の重要性とメリット
人材育成を考えるとき、真っ先に思い浮かぶ手法は社員研修ではないでしょうか。社員研修は、業務遂行のために必要な知識やスキルを身につけたり、業界や市場動向などを学ぶための貴重な機会となります。そのため、「何を学ばせるか?」の判断は非常に重要で、自社の課題を考慮したうえで、適切なプログラムを準備する必要があります。
「他社でよくやっていると聞くから」「大手ではこのテーマがトレンドだから」と、計画なしに研修を実施すると、期待する効果が得られないだけでなく、時間・費用といったコストを無駄にしてしまいかねません。そこで本記事では、社員研修の重要性とメリットについてまとめてみました。社員研修を検討される際のご参考になれば幸いです。
人材育成とは何か?
「人材育成」は、百科事典では以下のように説明されています。
長期的視野に立って現実に企業に貢献できる人材を育成すること。単に教育、訓練といった狭義の活動ではなく、主体性、自立性をもった人間としての一般的能力の向上をはかることに重点をおき、企業の業績向上と従業員の個人的能力の発揮との統合を目指す。人材育成の意識は、日本企業の特徴の一つであり、1980年代以降外国企業から大いに着目された。(出典:ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)
いかがですか? 私は今回事典を紐解いてみて、少々驚きました。特に諸外国から注目された日本企業の特徴であるという点と、単に教育、訓練といった狭義ではないという点に改めて気付きを得ました。
人材育成を念頭に置いた社員研修は、新入社員向けの導入研修だけでなく、対象は若手社員、中堅社員、管理職、経営幹部まで幅広く、それぞれにとって必要なスキルや知識を習得するために実施されます。特に役職や立場ごとに行われている「階層別研修」は、多くの企業で取り入れられています。他社、とりわけ同業他社の事例を参考にすることで、より効果的なプログラムを設計することが可能です。
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●文/山田賢司(やまだ けんじ)
株式会社アイデム 西日本事業本部キャリア開発支援チーム 人材育成・研修プランナー
大学卒業後、教職の道を志し、人生2度目の浪人を選択するも夢破れ挫折を味わう。その後、高額収入の得られる肉体労働やナイトワークに従事し資金を貯めた後、イベント企画会社を起業。しかし業績は安定せず見切りをつけ株式会社アイデムへ営業(現:採用プレゼンター)として入社。約20年間、顧客対応のみならずマネージャーとして営業所運営・部下指導についても多くの経験を積む。現在はこれら数々の経験を活かし、お客様が抱える課題解決のため、研修プランナーとして日々奮闘中である。