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労働ニュースに思うこと

限界突破×!? 最賃全国一律28円UP まだ雇い続けられますか?

個人の働き方や企業の人事労務、行政の労働施策など、労働に関するニュースを取り上げ、課題の解説や考察、所感などをつづります。(2021年9月30日)

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 本年(2021年)の7月に行われた中央最低賃金審議会目安に関する小委員会の発表で、「全国一律28円UP」の発表が行われました。今まで例を見ない引上げ目安の発表に驚かれた方も少なくないのではないでしょうか。その発表から2カ月半、いよいよ10月1日からほとんどの都道府県で28円以上引き上げが発効されます。

 

 

 

 

◆各地域の最低賃金引き上げの影響は?

 

 当社では全国の求人情報をネットを通じて公開しています。そのデータを使用し、今回の最低賃金引き上げが「募集時の賃金にどの程度の影響を及ぼすのか?」、分析を行ってみました。

 

 上記の表は、今回の最低賃金の引上げが行われた場合、当社求人媒体に現在(2021年4月~7月パート・アルバイト時給)出稿されている求人の募集時時給が最低賃金を下回ることになるのかを算出したものです(以下、「改定影響率」)。

 

 求人データの4割以上の求人が最低賃金を下回ることとなる地域が、関東圏では神奈川県、千葉県、群馬県。関西圏では兵庫県となっています。さらに多くの地域で3分の1以上が最低賃金割れを起こす状況で、最低賃金の大幅な上昇が大きな影響を与えていることがわかります。

 

※調査全文:令和3年度 地域別最低賃金改定によるパート・アルバイトの募集時時給への影響について

 

 

 

◆影響が大きくなるパターンは2つ 危険ゾーンに該当するのは?

 

 最低賃金改定の影響がパート・アルバイトの募集時時給の大きな影響が表れるのは2つのパターンに分類されます。

 

パターン(1)区切りまたぎ型

 

 50円、100円単位などの“区切りをまたぐ”改定となった場合です。このパターンで影響がみられる地域は群馬県、埼玉県、千葉県、静岡県。いずれの地域も4割前後の改定影響率となっています。今まで、給与計算の都合や、見た目などから時給は100円、50円など区切りの良い数値で決定される事が多かったためと言えます。

 

 群馬県であれば昨年の最低賃金が837円でしたから、それを上回る850円とする時給設定が多くなりますが、今回の改定が865円となったため多くの募集が最低賃金以下になることとなるわけです。来年も同じ程度の改定だとすると、茨城県や栃木県は最低賃金が900円を超える区切りをまたいだ改定となるために、影響が大きくなることが予想されます。

 

パターン(2)限界ギリギリ 大都市ひっぱられ型

 

 パターン(1)のように区切りをまたぐ改定ではないが、改定影響率が高くなっている場合です。これに該当するのが最も改定影響率が高かった神奈川県、次いで高かった兵庫県となります。この地域は東京や大阪に隣接するいわば、第2の大都市で、最低賃金額もほかの都市に比べて高く設定されています(神奈川にいたっては東京都と1円の差)。

 

 これらの地域では、隣接する大都市の衛星都市として通勤通学する方や買い物に出かける方も多く、県内都市における採用活動は隣接する大都市との競争で、賃金を高く設定せざるを得ない場合もあり、逼迫度は高くなっています。またさらに、東京や大阪に比べれば、大きな都市は少なく郊外地域の範囲も広いため、大都市並みの最低賃金額の設定に追いつけなくなってきています。
 募集時の賃金設定に関してはもう限界ギリギリ。区切りにこだわっている余地がなく、最低賃金の改定額と同額の賃金とする募集も少なくありません。

 

 

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●文/岸川宏(きしかわ ひろし)
株式会社アイデム 東日本事業本部 マネージャー(キャリア開発支援チーム/データリサーチチーム)、社会保険労務士
大学卒業後、リゾート開発関連会社へ入社。飲食店部門での店舗運営を経験後、社会保険労務士資格を取得。社会保険労務士事務所にて、主に中堅・小規模企業の労務相談、社会保険関連手続きに従事した。1999年、株式会社アイデムに入社。賃金データの調査分析、労使関係に関する意識調査等、労働環境の実態に迫る情報提供に従事。採用時だけではなく、採用後の人材の定着、育成、戦力化と、人的戦力確保のための環境づくりに資する総合的な情報の提供に努めている。

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