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ビジネスで使える心理学/菊原智明

【第17回】嫌でもやる気が出る「恐怖モチベーション」

商談や接客時など、ビジネスシーンに応用できる心理学の知識を解説します。

恐怖モチベーションとは?
   
 恐怖のモチベーションとは、「このまま仕事がうまくいかなかったらどうしよう」「今あるものを失ってしまうのでは」という感情から起こるモチベーションのことです。
 このような心理からの取り組みは、仕事への健全なモチベーションから生まれるのではなく、恐怖から生まれています。それは、立ち止まると失ってしまうかもしれないという恐怖感です。


・解説

 私はお客さまに直接訪問するのではなく、お役に立つ情報を定期的にお送りする【営業レター】を使って営業することを推奨しています。 しかし、「手紙を出す習慣が身につきません」「忙しくて手紙を出す時間がありません」という人も少なくありません。

 私の場合はすぐに営業レターを送る習慣が身につきましたが、理由はプラスのものではありません。数々の失敗経験からのモチベーションでした。 

 「来られると迷惑なんです!」「子供が起きたじゃない!どうしてくれるの!」というお客さまの罵声と玄関の鍵を閉める音が、今でも強烈に耳に残っています。
 この経験に比べれば営業レター作りは天国です。それが営業レターを続けるモチベーションになったのです。これを恐怖モチベーションといいます。

  恐怖モチベーションは営業マンにとって必要なことだと私は思います。
 「契約が取れなくなったらどうしよう」「今月はいいけど来月はマズいぞ」など、このような思いは嫌なものです。 しかし、私自身も経験しましたが、プラスのモチベーションより恐怖モチベーションの方が、気合が入ります。私自身そうやって首寸前でとどまっていたのです。

 その一方、この恐怖のモチベーションには欠点があります。「恐怖の状態」から抜け出してしまうと、途端にモチベーションがダウンすることです。私自身、必死に営業活動をしても結果が出た途端に安心して、また元のダメな自分に戻ってしまうのです。
 ですから、初速では恐怖モチベーションを使い、その後は前向きなモチベーションに変えることが大切です。

 先ほどお話しした営業レターに関しても初めは《あんなつらい目に遭いたくない》という思いから始めました。続けているうちに《これはお客さまの役に立つので、送り続けよう》という前向きなモチベーションに変わりました。

 やる気に火をつけるために恐怖モチベーションを利用し、徐々に健全なモチベーションに変えて行きましょう。





菊原智明●営業コンサルタント。大学卒業後、大手住宅メーカーに入社し、営業部に配属。「口ベタ」「あがり症」に悩み、7年間、苦しい営業マン時代を過ごす。その後、それまでの営業活動の間違いに気づいてやり方を大きく変えたところ、成績がみるみる上がり4年連続トップ営業マンに。自分と同じように営業に悩んでいる人たちをサポートしたいとの思いから、2006年に独立。著者に『訪問しないで「売れる営業」に変わる本』(大和出版)、『トップ営業マンのルール』(明日香出版社)、『面接ではウソをつけ』(星海社新書)など多数。 
http://www.tuki1.net/

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