4ステップで考える新卒採用活動〜企業事例に学ぶ〜【前編】
今回から2回にわたって、新卒採用活動を取り上げます。4つのステップに分け、実際に取材した企業事例から採用活動を成功させるポイントについて考えていきます。
●はじめに〜新卒採用をめぐる現状〜
2015年度の新卒採用は、景気回復の兆しが見え始めた昨今の状況を反映し、学生に有利な売り手市場でした。求人媒体各社が行った調査によると、学生の内定率は昨年度より高かったようです。就職活動早期に内定を得た学生も少なくなく、複数内定も珍しくない傾向が見られました。
一方、企業側を見ると採用充足率は例年より低く、内定辞退率は高くなっています。また、業界によって進捗状況に違いが見られました。サービス業の充足率が悪い一方で、金融業などの一部の業界では例年よりも早く活動を終了させたところもあったようです。
昨年、政府の意向を受けた経団連は、2016年度の新卒採用について広報活動の解禁日を卒業前学年(大学3年)の3月1日に、選考解禁を卒業学年(大学4年)の8月1日に後ろ倒しにする指針を出しました。その影響について、さまざまな憶測がなされています。
新卒採用市場は景気に左右される要素が大きく、2015年度の売り手市場は現在の好況傾向を反映した結果となりました。売り手市場のもう1つの背景として現在、雇用市場全体が少子高齢化の影響などで人手不足が問題化しつつあるということも考えられます。
こうした事情を踏まえると、2016年度も売り手市場が続き、さらに企業は採用活動の後ろ倒しでさまざまな対応を迫られることが予想されます。
本コーナーは今回から2回にわたって、新卒採用活動を取り上げます。採用活動を4つのステップに分け、実際に取材した企業事例から採用活動を成功させるポイントについて考えていきたいと思います。第1回は、募集と選考です。
●ステップ1/募集
昨年、学生から入社試験の受験料を徴収した企業がありました。目的は、「自社で働きたい」と本気で思っている人に受験してほしいというものです。その結果、大幅にエントリー数が絞られ、内定辞退者も削減されたそうです。そのため、今年も選考にかかる費用の一部を学生に負担してもらうという形で、受験料を徴収するようです。
こうした試みが実施された背景には、就職活動においてナビサイトの利用が一般的になったことによる弊害があります。ナビサイトの影響で学生のエントリー数が増えた企業は事務的な負担が大きくなり、選考に時間をかけることが難しくなっているという状況があるのです。
どんなに多くの学生から応募があっても、自社で働くのに必要な資質や能力を備えた人がいなければ意味がありません。会社説明会で、学生に仕事の厳しさを伝えて本当にやりたいかどうかを考えてもらうように促している企業や、学生に自社の理解を深めてもらったり、応募動機を高めてもらうために社員との座談会を設けている企業は少なくありません。
以下、学生との最初のコンタクトとなる会社説明会などの募集段階での、各企業の取り組みをご紹介します。
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A社は会社説明会を、セミナーという形で実施しています。2時間半のセミナーでは、最初に同社が関わっている業界についての解説があり、それを踏まえた上で会社の説明に入ります。セミナーにしているのは自社のことだけではなく、業界全体について知ってほしいという考えからです。業界全体について知ることは、自社に対する理解を深めるからです。A社の担当者はこう言います。
「自社への理解が深まれば、本当に入社したい方だけがエントリーをしてくださいます。それは内定辞退を防ぐことにもつながると思います」
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●文/三宅航太(みやけ こおた)
株式会社アイデム人と仕事研究所研究員。大学卒業後、出版社の営業・編集、編集プロダクション勤務を経て、2004年に株式会社アイデム入社。同社がWEBで発信するマネジメントなどに役立つ情報記事の編集業務に従事する。人事労務関連ニュースなどの記事作成や数多くの企業ならびに働く人を取材。
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