第39回「いじめのある職場」
働く個人にこれまでのキャリアや仕事観を聞き、企業が人を雇用する上で考えなければならないことを探ります。
井原静香さん(仮名・34歳)は、2年前から家の近所にあるスーパーマーケットでパートタイマーとして働いている。週3日の勤務で、仕事内容はレジ、接客、品出し、発注、清掃など多岐にわたる。
「結婚して、この町に引っ越してきました。夫は会社員で、子供はいません。仕事は、仲良くなった近所の方に紹介していただきました。その方のパート先で、時給がよく、働きやすいと聞いていたので紹介してもらったのです。パート・アルバイトのスタッフの中には、私のほかにも紹介で入っている人がいました」
現在、店には2つの問題があった。1つは人手不足だ。人が足りないのは、求人募集をしていてもほとんど応募がないという事情もあるが、半年前に会社の方針が変わったことも影響していた。
「以前、休日などの忙しいときは、臨時に派遣スタッフなどを入れて対応していました。ですが、人件費の削減などを理由にやめてしまったのです。そのため、既存のスタッフだけで対応しなければならなくなりました」
それまで、休日のレジは1台に2人つくことが多かった。だが、1人体制になったため、長い列ができてしまうことが増えたという。
「平日もスタッフが減っており、以前に比べて忙しいです。募集を出しても人が来ないので、店長も嘆いています」
店はもう1つ大きな問題を抱えていた。いじめである。数カ月前から、井原さんが慕っている同僚が嫌がらせを受けていた。
「嫌がらせを受けているのは1年くらい前に入った安西さんという方で、私と同じ主婦パートです。仕事ができて、面倒見もよいので、みんなに人気があります。スタッフの中にそのことを快く思わない人がいるようで、陰湿ないじめにあっているのです」
安西さんは仕事用のエプロンを引き裂かれたり、私物を捨てられたり、さまざまな被害にあってきた。
「今まで、財布などの貴重品の管理は注意するように言われていましたが、バックヤードのロッカールームにカギを掛けることはありませんでした。でも、今はロッカーにカギを掛けることが徹底されたので、安西さんの被害はだいぶ減ったようです。それでも、安西さんの使うロッカーには落書きをされるなどのいたずらが続いており、今も犯人は捕まっていません」
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●取材・文/三宅航太
株式会社アイデム人と仕事研究所 研究員。大学卒業後、出版社の営業・編集、編集プロダクション勤務を経て、2004年に株式会社アイデム入社。同社がWEBで発信する人事労務やマネジメントなどに関する情報コンテンツの編集業務を担当。人事労務関連ニュースなどの記事作成や、記者として数多くの企業を取材。
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