2015年、話題となったビジネス書は?
年間1000冊のビジネス書を読む出版コンサルタントの土井英司さんが、人材の活用や育成などをテーマしたビジネス書を厳選して紹介します。
こんにちは、土井英司です。 今月は、年末の番外編として、2015年に売れた本をフィーチャーします。
取次最大手、日販のデータによると、2015年もっとも売れた本は、やはりあの話題作『火花』(又吉直樹著/文藝春秋)。何と200万部を突破しています。以下、第2位『フランス人は10着しか服を持たない』(ジェニファー・L・スコット著/大和書房)、第3位『家族という病』(下重暁子著/幻冬舎)が続きました。日米両方で150万部を突破した、『人生がときめく片づけの魔法』(近藤麻理恵著/サンマーク出版 ※英語版は『The Life Changing Magic of Tidying Up』)も絶好調で、先進国では片づけブーム、モノを持たない暮らしのブームが続いています。グローバルビジネスでは、ほどよい暮らしを標榜する、無印良品(良品計画)が絶好調です。
こうしたモノ離れに加え、人間関係や家族を見直す風潮も出てきており、古い日本の価値観は急速に変化しつつあるのが分かります。12月上旬には、280万部の大ベストセラーとなった、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』の続編、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら』(岩崎夏海著/ダイヤモンド社)が発売されましたが、選ばれたテーマからも、変革の必要性を感じます。
★もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『イノベーションと企業家精神』を読んだら』
(岩崎夏海著/ダイヤモンド社/定価1,728円)
ビジネス書ランキングは、第1位『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』(岸見 一郎、古賀史健著/ダイヤモンド社)、第2位『お金が貯まるのは、どっち!? お金に好かれる人、嫌われる人の法則』(菅井敏之著/アスコム)、第3位『身近な人が亡くなった後の手続のすべて』(児島明日美、福田真弓ほか著/自由国民社)で、世相を反映したランキングとなっています。
なかでも、『嫌われる勇気』で取り上げられたアドラー心理学は、『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』(小倉広著/ダイヤモンド社)、『マンガでやさしくわかるアドラー心理学』(岩井俊憲ほか著/日本能率協会マネジメントセンター)、『本気で変わりたい人の 行動イノベーション』(大平信孝著/秀和システム)など、類書が軒並みベストセラーとなりました。「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言し、対人関係を改善していくためのヒントを提示するアドラー心理学がはやったことからも、日本人の多くが人間関係で悩んでいることが分かります。
★アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉
(小倉広著/ダイヤモンド社/定価1,728円)
★マンガでやさしくわかるアドラー心理学
(岩井俊憲ほか著/日本能率協会マネジメントセンター/定価1,620円)
★本気で変わりたい人の 行動イノベーション
(大平信孝著/秀和システム/定価1,404円)
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●土井英司(どい えいじ)出版コンサルタント、ビジネス書評家、エリエス・ブック・コンサルティング代表取締役。1974年生。慶大卒。オンライン書店アマゾンの日本サイト立ち上げに参画。数々のべストセラーを仕掛け、カリスマバイヤーと呼ばれる。現在、出版コンサルタントとして著者のブランディングからマーケティングまでをトータルで行う。プロデュースした書籍に、100万部を突破した『人生がときめく片づけの魔法』、シリーズ累計37 万部を突破した『年収200万円からの貯金生活宣言』など多数。著書に『成功読書術』(ゴマブックス)、『土井英司の「超」ビジネス書講義』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。http://eliesbook.co.jp/bbm
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