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人の心が引き起こすさまざまなトラブルを取り上げ、その背景や解決方法、予防策などを探ります。
最近、不倫が社会的な問題になっている。夫婦関係の危機だが、それが新婚の時期ともなれば、さらに深刻な事態になる。実は新婚の時期だからこそ、不倫が起こりやすいことがあまり知られていないようだ。
壮絶なけんか
職場の同僚同士で結婚した夫婦がいた。5年ほど職場恋愛を続け、結婚のきっかけは子供ができたことだった。新婚生活がスタートして1年ほどになるが、育児休業中の妻は復帰のめどが立たず、このままでは会社を辞めるしかなかった。それが彼女にとってはストレスだった。経済的に大きな問題だからだ。
そのうえ彼女は家事と育児の過労が重なり、うつ状態になっていた。ささいなことでキレて、すぐに怒鳴ったりしていた。夫はそんな妻と関わるのが嫌で、わざと遅く帰宅していた。
彼女はそんな夫の態度に腹を立て、毎晩のようにけんかをふっかけた。お互いをののしりあい、罵声を飛ばしあう夫婦の声は、2人が住んでいるマンション中に響き渡った。
やがて、生活に疲れた夫は職場の後輩女性と一緒に飲んだ帰りに、不倫関係になった。不倫相手と浮気をしたあとは精神的な余裕もでき、少しは家事や育児の手伝いをするようになった。罪滅ぼしの気持ちからだった。
ある休日、彼のスマホに不倫相手の彼女から電話がきた。会う約束を忘れていたのだ。そのとき、妻に不倫がばれた。妻は夫に裏切られた気持ちになり、うつ状態が深まってしまった。
それぞれのストレス
新婚妻は多くのストレスを感じている。日々の夫婦の食事の支度、掃除や洗濯、片付けなど、やることはたくさんある。また、出産した場合は乳幼児の世話による慢性的な睡眠不足がある。気軽に友人と会ってストレスを解消することもできず、自分の時間がなかった。
一方、夫は妻が妊娠すると性交を拒まれるようになり、彼女に不満を持つようになった。そうした状況は出産後も続き、不満が募っていった。やがて仕事が忙しくなり、家事や育児を手伝う余力がなくなった。そして、自分に不満ばかりを言う妻にも嫌気がさしてきた。そんなとき、職場の後輩女性と不倫関係になったのだ。彼は、妻の家事や育児は、外で働くよりも簡単なことだと考えていた。だから自分は仕事をして、さらに家事や育児の手伝いを期待されることにうんざりしていた。
新婚の時期は夫婦関係が確立されていないため、お互いへの期待が裏切られ、ストレスが起きやすい。新しい結婚生活に適応するのが困難な時期でもある。産まれた子供の世話についても、意見がすれ違うことがある。家事も分担がうまく決められず、妻がストレスを感じることが多いようだ。
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●河田俊男(かわだ としお)
1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。
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