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人材育成のツボ

「働かないおじさん問題」を人材育成の立場からひと言

アイデムの人材育成・研修部門の担当者が、日々の業務やお客さまとの対話から感じたことなどをつづります。(2023年1月19日）

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はじめに

 

　インターネットで「働かないおじさん」というワードを検索すると、実にたくさんの記事やコメントがでてきます。始まりは2014年にビジネス評論家の楠木新さんが言及されたそうですが、これほど多く取り上げられ、関心が高まったのは2020年代に入ってからのようです。私はこの記事を書いている現在55歳ですので、他人事とは思えない心境です。日々、多くの企業の人材育成に関わらせていただいている立場から、私なりの感想のようなものを書きたいと思います。

 

 

「働かないおじさん」の定義は？

 

　ある企業の調査では、「タバコ休憩が多い、または長い、またはその両方」、「頻繁にボーっとしている」、「プライベートや趣味について会社のパソコンやスマホで調べている」、「休憩時間でもないのに寝ている」などの行動が上位を占めているという説がありました。言葉通り、本当に仕事をしない人たちです。

 

 

 

 

　一方、『働かないおじさん問題のトリセツ』の著者、難波猛さんによると、前述の説とはかなり異なります。「新聞やスマホばかり眺めて仕事をしない人」や「社用車で居眠りをしてる人」なんて、今どきほとんどいない。実は「まじめでコツコツ働く人」が、そう呼ばれる人なんだ。まじめに働いているが、期待されている成果が出せない人のことであると。ちなみに国税庁の「民間給与実態統計調査（令和3年分）」によると、25歳〜29歳男性の平均給与額は417万円、それに対し55歳〜59歳男性の平均給与額が726万円です。つまり1.7倍の給与をもらっているのだから、1.7倍の成果が期待されているわけです。

 

　どちらも頷けるお話だと思います。しかし、「働かない」という言葉から私は成果よりも行動をイメージします。賛否あると思いますが、「働かない」の定義は、ここでは「仕事の成果を出す行動を十分にとらない」とさせていただきます。そして、私の経験からそういう人たちは今でも一定数いると感じています。

 

 

「働かないおじさん」の特徴は？

 

　研修に携わっているとよくあることなのですが、優秀で変わる必要がないと会社側が考えている人ほど、研修を熱心に受講し、新たな気づきを得ること。優秀な人ほど、どんなことからもヒントを得て自分のものにしています。だから優秀なのでしょうが。そして肝心の変わってほしい人は、「自分はできている、自分には関係ない」などの感想を残し、研修が無駄だったと感じているというケースがしばしばあります。「働かないおじさん」の特徴の一つは、このような「自分は特別だ」、「自分には関係ない」という勘違いだと思います。

 

　そしてもう一つは「逃げ切る」という発想をしている人です。例えば、定年まであと数年なのだから、新たな挑戦をしなくても、これまでの経験でできる程度の働きでいいと考えている人です。これだと、世の中の変化に適応しようとする他の世代とはギャップが生まれます。また、いくら研修などで学ぶ機会を与えられても、自分を変える意識がなければ変わりません。この2点が「働かないおじさん」の共通点だと考えるのですが、貴社ではいかがでしょうか？

 

 

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●文／松嶋清和（まつしま きよかず）
株式会社アイデム 西日本事業本部キャリア開発支援チーム／人材育成・研修プランナー
特定社会保険労務士、メンタルヘルス・マネジメント検定�擬�
大学卒業後、大手アパレル商社に勤務、全国の小売店との相談・折衝業務に従事する。その後1998年に株式会社アイデムに入社してからは、13年間に延べ3,000社以上の経営者・人事担当者らと面談。求人広告の営業担当として、採用および人材活用に関する提案を続けてきた。2010年11月以降は同社「キャリア開発支援チーム」にて、採用後の人材育成、教育・研修に特化した企画提案を行っている。

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