報告書やメール、SNSでの発信など、ビジネスは文章を書く機会にあふれています。さまざまな目的に合わせて、伝わる文章を書くために必要なことを解説します。(2024年4月30日)
インターネットで「文章の書き方」を検索すると、書き方を指南するコンテンツは数多くヒットし、関連本も何冊も出版されていることがわかります。なぜ、このような状況になっているのでしょうか。背景として日本の国語教育は読解が中心で、書き方に力を入れていないことがあげられます(近年は書き方に力を入れるようになってきているようですが)。そのため、独学で文章の書き方を学びたいというニーズがあり、コンテンツとして提供されているのでしょう。
苦手な理由
文章を書く上で困っていたり、悩んでいたり、疑問に感じていたりすることは何でしょうか。テーマが思いつかない、語彙力がなくて書き進められない、うまく表現できない、書いている途中で何が言いたいのかわからなくなってしまう、書くのが遅くて時間がかかる…など、さまざまなことがあると思いますが、大きく分けると下記のいずれかに集約されるのではないでしょうか。
(1)書くことが思い浮かばない
(2)自分の思っていることや考えていることを文章にできない
文章を書く作業を分解すると、まず「何を書くか?」を決め、次に「どう書くか?」を考え、実際に「書き進めていく」という流れになると思います。建築に例えると、自分が建てたいものを考え、設計図を作り、実際に建てていくということになるでしょうか。
両者は同じようなプロセスを踏みますが、大きな違いがあります。建築は工程を踏まなければ建てられませんが、文章は同時並行でも作業できます。実際、多くの人が「何を書くか?」をなんとなく決め、「どう書くか?」を考えながら、実際に「書き進めている」のではないでしょうか。私もそうです。書く前に内容や構成を考えますが、書きながら考え、考えながら書いています(理由は、時間がなかったり、結論が見えなかったりで、とりあえず書いてみようというところです…)。
2つのスキル
自分の考えがまとまらないときに、人と話すことで整理されたり、何らかの糸口がみつかったりすることはありませんか。これは会話というキャッチボールで自分の考えを言語化することで、俯瞰したり、整理したりする作業を行ったと言えます。
書きながら考え、考えながら書くという行為はこれと同じで、いわば自分を相手にキャッチボールをしているようなものです。ただ、会話と違い、自分の考えを文章にしていくのは手間も時間もかかります。
文章を書くスキルは、自分相手のキャッチボールの負荷を軽くするものです。文章は「何を、どう書くか?」です。スキルはそれを補うもので、大きく分けて2つあります。
・「何を書くか?」をみつける考え方
書くためのテーマや材料の探し方で、アイデアの出し方や企画の考え方などに通じます
・「どう書くか?」を考え、文章にしていく技術
書こうとしているテーマを文章にまとめる方法(内容や構成など)や、実際に文章を作っていく知識(言葉の使い方や文法など)です
文章を書くことは、考えることです。気力も体力も必要で、ストレスを伴うものでもあります。次回以降、文章を書くために必要なことを解説していきます。
★今回のポイント
・書くのが苦手な理由は2つ
・何を、どう書くか?
・書くことは、考えること
●文/三宅航太
株式会社アイデム東日本事業本部 データリサーチチーム所属。
大学卒業後、出版社に入社。書店営業部を経て、編集部に異動。書籍の企画・制作・進行・ライティングなど、編集業務全般に従事する。同社を退社後、フリーランス編集者、編集プロダクション勤務を経て、株式会社アイデム入社。同社がWebサイトで発信する人の「採用・定着・戦力化」に関するコンテンツの企画・編集業務を担う。働き方に関するニュースの考察や労働法の解説、取材、企業事例など、さまざまな記事コンテンツを作成している。