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ココロの座標/河田俊男

第97回「仕事が遅い理由」

人の心が引き起こすさまざまなトラブルを取り上げ、その背景や解決方法、予防策などを探ります。(2024年4月16日)

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 職場にとても仕事の遅い人がいたら、どう接すればいいのだろうか。できれば、仕事を手伝い、不足しているスキルがあれば補ってあげたいものだ。


仕事を任せてもらえない

 23歳の早紀は新卒で保険会社に入ったが、辞めようと思っていた。理由は、職場でいじめにあっていたことだ。発端は、先輩と一緒に昼食を食べたときだった。同じランチを頼んだが、先輩はすぐに食べてしまい、彼女はまだ半分残っていた。そこで「食べるの遅いね」「体の調子でも悪いの?」などと言われ、途中で食べるのをやめた。その出来事から「仕事も食べるのも遅いよね」「のろくて使えない」「どっかおかしいよね」などと陰口をささやかれるようになった。

 やがて、早紀は職場で仕事を任せてもらえなくなった。理由は仕事をこなすスピードが遅いことで、期限に間に合わないとチーム全体の責任になるからだ。彼女は自信を失って人生を悲観しはじめ、眠れなくなり、うつ病になった。





会食恐怖症になる

 学生の頃、早紀は食事が遅い理由で失恋したことがあった。当時の交際相手は「そんなに遅いのは、食べ方が変わっているからかもしれない」と言って、彼女が食べるところを凝視した。あまりにもジロジロみられるので恥ずかしくなり、涙が出た。その後、彼とは別れた。また、別の交際相手にはデート中に歩くのが遅いので、街中でまかれたことがあった。それ以降、スマホで連絡をしても反応がなくなった。

 彼女は動作や行動が遅いことで失恋を繰り返し、その都度ショックから回復してきた。だが、仕事や食事が遅いことを理由に職場でいじめにあうとは、想像もしていなかった。

 ある日、職場の同僚と昼食を食べに行ったとき、早く食べようとしたプレッシャーから動悸が激しくなり、過呼吸になって死ぬかもしれない恐怖を味わった。そのときから誰かと一緒に食事をすることが恐ろしくなった。1人で食事をしていてもそのことを思い出して食事ができなくなることがあり、彼女は会食恐怖症になった。


罪悪感で自分をいじめる

 
仕事ができず、職場に迷惑をかけていることに罪悪感を持った早紀は自分をいじめるようになった。これを「ドビー効果」という。罪悪感で自分自身を傷つける心理状態のことだ。ドビーは「ハリー・ポッター」に出てくるキャラクターで、罪悪感を覚えたときに自分自身を傷つけたり、罰したりする習性を持っている。ドビー効果によって、彼女は自分をいじめるようになり、うつ病になった。

 ダニング=クルーガー効果というものがある。能力や専門性、経験の低い人は「自分の能力を過大評価する傾向がある」という認知バイアスのゆがみを意味する。自分の未熟さを認識できず、自分を過大に評価した人が、ターゲットをみつけていじめているのかもしれない。いじめの背景には、こうしたことも考えられる。


恵まれた家庭環境と自己肯定感

 早紀は子供のころから、親に褒められることはあっても叱られたことがなく、自己肯定感の強い人間に育った。そのため、マイペースで自己中心的な傾向があり、他人の立場になって考えることができなかった。自己肯定感の強い人は嫌われやすい、という海外の研究結果もある。

 また、早紀はいつもハイブランドの洋服を着ていて、実家が裕福で働かなくても生活をしていける環境にあった。言葉づかいや所作の品もよく、異性をひきつける華やかな容姿をしていた。そんな彼女に職場の女性たちは嫉妬し、いじめるようになったのかもしれない。
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●文/河田俊男(かわだ としお)
1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。
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