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今回は、仕事がうまくいかないことから社会に恐怖心をもってしまった男性の事例を考察します。
ささいなことでもイヤなことはある。笑顔であいさつしても無視されたり、逆に文句を言われたり、怒られたりすると、それだけでストレスになるものだ。それが毎日会う職場の人々や、顧客であれば精神的にも病んでしまう。
あるコンビニ店員の場合
そのコンビニではわずかな研修ですぐに仕事につくが、同期は飲み込みが早く、イキイキと働いていた。一方、彼は簡単なことさえ忘れてしまい、いつも同期に聞いてばかり。ほとほと自分にはコンビニが向かないのかと悩んだ。
そんなとき、仕事が遅いのでお客に怒鳴られた。そのことでまたオドオドしてしまい、緊張して声も震えてしまった。それからというもの、いつお客から怒鳴られるか恐怖になった。切手を売るとき、汗をかいた手に切手がくっついてしまい、「その切手を売る気かよ、ちゃんとしたものを出せ!」とお客に叱られた。それ以来、お釣りを出す手が震えるようになった。お客はその様子を見て、釣り銭をごまかされていないかと慎重に調べるようになった。また、そのお客の様子を見ているうちに、さらに緊張して手に汗をかいたり、動悸がしたり、顔が赤くなったりした。
とうとう店でお客と対応するにも精神的に疲れ果て、店長に「辞めたい」と言った。次のアルバイトが来るまでいてほしいと言われたが、翌日から行かなかった。彼は給料も取りに行けず、「仕事をする自信がなくなってしまった」と言う。
建設業営業マンの場合
同じような訴えをした男がいた。彼は、建築設計から営業部に配置転換になった。今まで戸建ての建築設計をしていた実力を、営業で活かすように命令されたのだ。営業部に転属すると、お客の要求に応じたにもかかわらず、最終的に他社に決められてしまうということが何度も続いた。その後も、お客の要望に対して「ご予算ではできません」などと言ってしまい、商談が破談になったこともあった。
それから、お客との打ち合わせになると脂汗をかいたり、手が震えたり、顔が赤くなるなど、緊張してどんな説明をしているのか分からなくなった。
上司に相談すると、「リラックスしろ」と助言してくれた。だが、リラックスしようとすると逆に緊張してしまい、完全に自分に自信がなくなってしまった。その後、休職したが、復職する勇気が出ない。心療内科でソーシャルフォビア(社会恐怖症)ではないか、と診断された。
ソーシャルフォビアを克服
コンビニ店員の若者は、不慣れな自分に親切に接してくれることをどこかで期待していた。ところが、今までの人生では経験したことのないような扱いを受けたり、言葉をかけられたことで、対応の仕方が分からなくなってしまった。お客の態度に彼の自尊心は傷つき、怒りを覚え、それが恐怖心になった。恐怖心を克服しようと、もがけばもがくほど、自分をコントロールできなくなり、自信を失ったのだ。
営業マンの彼もまた、お客に断られ続けるうちに対応の仕方が分からなくなり、やがて恐怖心を持つようになった。一度強い恐怖心を持ってしまうと、自分をコントロールしようとしてさらに緊張してしまう。
こうした恐怖心は、周囲の理解や温かいサポートによって、乗り越えられることもある。しかし、仕事内容や職場次第なのだ。
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●河田俊男(かわだ としお)
1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。
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