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人事コレで委員会

時間外労働はどのくらい?

「時間外労働」についてのルールを再確認し、慣習化した時間外労働をどのように改善していけばいいのか解説しています。

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2010年4月1日〜4月30日の1ヶ月間、弊社WEBサイト「ブログ人事コレで委員会」にいただいたコメントをもとに書かれた記事です(「ブログ人事コレで委員会」は2012年3月末日に終了しました)。


☆時間外労働についてのルールを再確認しよう

(1)三六協定がないと時間外労働は違法
 時間外労働(1日8時間、1週間40時間を超える残業のこと)をさせる場合には、

「三六協定」

という労使の取り決めを定め、その内容を労働基準監督署に届け出なければなりません。この手続きを経なければ時間外労働そのものが違法となります(罰則付き)。「三六協定」は、毎年見直さなければならないのですが、この手続きを怠っている会社があります。厳密には違法です。

(2)時間外労働時間のカウント方法
 時間外労働のカウントは、「日単位」「週単位」の順で行います。
 「日単位」の時間外労働は、いったん発生したらこれを帳消しにはできません。ある日に時間外労働が発生した場合、会社が勝手に別の日の労働時間を短縮して「残業なし」とすることは違法です。適正な手続の下、変形労働時間制等を採用すれば別ですが、会社が勝手に労働時間を変更することは認められないからです。
 また、日単位の時間外労働をカウントする際、30分未満の端数を切り捨ててしまう会社がありますが、これも違法です(丸めるときは1か月間の合計時間数において行う必要があります)。

 次に「週単位」の場合ですが、週休2日制(土日休み)の会社の場合、どちらか1日の休日が「法定休日」となり、それ以外の休日が「法定休日以外の休日」となります。そして、法定休日以外の休日の出勤は、時間外労働としてカウントする必要があります(法定休日の出勤は「休日労働」であり、時間外労働ではありません)。このルールが曖昧な会社が多く見受けられます。

(3)時間外労働には法令上の上限がある
 上限ルールは罰則がないため、無視する会社があります。しかし、今年4月に労働基準法が改正されたことをきっかけに、行政はこの点を注目しており、無視すると強い行政指導を受けることになるでしょう。その際、サービス残業でも発覚したら、会社は過去6〜24か月分の残業代を支払わされる羽目となるかもしれません。時間外労働の上限は

「1か月45時間」「1年間360時間」

です。
 ただし、労使で特別な取り決めをすれば、1年のうち6ヶ月に限って45時間を超えても構いません。コメントの中には、「50時間」というものがありましたが、これが「毎月」となれば、その会社は違法です。かといって残業代は45時間頭打ちでそれ以上はなかったことにする、となれば会社はダブルで法を犯すことになります。
 なお、「残業込みの賃金なので残業代はゼロ」というコメントもありましたが、何時間分の残業を込みにするか明示されている必要があります。また、当初込みとされていた時間数を超える時間外労働があれば、別途残業代を払わなければサービス残業(賃金不払残業)となります。

(4)「当たり前」と思っていたルールでも違法の場合がある
 ここまで説明しただけでも、意外と知らないルールがあったり、当たり前と思っていた会社のルールが違法だったりしていませんか?

 正しいルールは、日々こつこつとまじめに労働時間を管理している会社であれば、遵守することは難しいことではありません。しかし、日頃の管理がルーズだと混乱してしまいます。かといってみなさんが違法性を訴えても改善されないかもしれません。会社もよく分かっていない可能性があるからです。我が国全体が、労働時間ルールに鈍感なのかもしれません。
 しかしながら、「今後も鈍感なまま」というわけにはいきません。労働基準法の改正により、時間外労働が一定時間数(45時間、60時間)に達するつど、割増賃金率を引き上げていくというルールができたからです(例えば、大企業であれば、60時間に達した時点で割増賃金率は2割5分ではなく5割になります)。

 つまり、改正後の労働基準法を遵守するためには、常日頃から正しく労働時間を管理する必要があるのです。どんぶり勘定だと知らず知らずに法を犯してしまい、後々会社がペナルティを受けるというリスクが発生します。


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ご意見番 岩崎 仁弥氏岩崎 仁弥(いわさききみや)氏
株式会社リーガル・ステーション代表取締役 特定社会保険労務士、行政書士(東京入国管理局承認) 企業をブラックにしないためのメッセンジャー。特殊法人関連会社で10年間、人事・総務に携わる。会社が引き起こした事件をきっかけに、コンプライアンスの欠如が「人の働き方」を荒廃させることを痛感。それを期に、労働法の重要性に目覚め、生来の教え好きも講じて講師業へ転身。一方で、社会保険労務士として労使トラブル解消に取り組む。法の趣旨を正しく伝えることが、明るい職場作りに貢献するとして、各種セミナーのほか企業を対象としたコンプライアンス対応コンサルティングで実績を上げている。「原理を押さえれば理解は簡単」をモットーに、法律の趣旨や沿革から説き起こす「理解中心」の明快な解説が特徴。URL:
http://www.legal-station.jp/
執筆活動:人事・労務関連書籍で定評のある「日本法令」から、新しい労使関係のあり方を提示する「就業規則」や「労働時間管理」に関する書籍を出版しており、いずれもロングセラーとなっている。その他、労務管理の専門家が購読する「ビジネスガイド」「SR」(いずれも日本法令刊)でも多数執筆中。
最近の著作:「実務家のための改正労働基準法、育児・介護休業法完全対応マニュアル」(日本法令)
「3訂版 リスク回避型就業規則・諸規程作成マニュアル」(共著・日本法令)
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