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ココロの座標/河田俊男

第37回「多国籍企業で働くとき」

人の心が引き起こすさまざまなトラブルを取り上げ、その背景や解決方法、予防策などを探ります。(2019年4月25日)

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 外資系企業は実力主義のところが多く、自分の力を発揮したい人にとっては、魅力的である。仕事の能力だけでなく、異文化に対する理解やさまざまな人種との協調性も大切だ。

 

 

外資系企業に転職

 

 国内の有名アパレル企業に勤務していた樹里は、いつかは海外で働きたいと思い、英会話学校に通って語学力を養っていた。そして半年前、外資系のファッション関連企業の求人に応募し、マーケティング部門に採用になった。フランス人の上司は、紳士的で優しそうな男性だった。

 

 ところが、働き始めて1週間もすると、上司は支配的で威圧感があり、理不尽な命令をしてくる人物であることが分かった。感情を顔に出し、物事が自分のペースで進まないと怒鳴る。第一印象とはまったく違い、樹里は混乱した。気分屋で、気に入らないことはすべて否定。利己主義で、悪い結果は樹里の責任にされた。

 

 入社から半年後、樹里はうつ病になった。転職するまでは前向きな性格だったが、物事を悲観したり、批判的に考えるようになり、理由もなく怒りが湧いてくるようになった。そのことを友人に指摘され、このままではおかしくなりそうだったので会社を辞めることにした。

 

 

 

 

 

突然うつ病に

 

 25歳の朴は韓国人で、大学の友人と一緒に日本のIT関連企業で働くことになった。彼は日本で実力をつけて、やがてアメリカやヨーロッパで働こうと考えていた。友人も同じ考えで、まずは日本で就職した。朴はなるべく残業をせず、将来のために家に帰って人工知能や語学の勉強をしていた。一方、友人は日本人の上司や同僚と毎晩のように飲み歩き、日本語を上達させ、日本文化になじんでいった。

 

 それから1年がたったある日、朴の友人は昇進し、目指していた部門に好待遇で迎えられた。彼は動揺し、混乱した。毎日必死で勉強していたのに、友人に差をつけられてしまったからだ。やがて頭痛や胸が苦しくなるなど、体に不調を感じるようになり、夜も眠れず、急速にうつ状態になった。医師の勧めで、しばらく休養をとることになった。

 

 

パリ症候群と火病

 

 パリ症候群という精神医学用語がある。憧れを抱いてパリで暮らし始めた日本人が、現地の習慣や文化などに適応できずに精神的なバランスを崩し、うつ病に近い症状を訴える状態を指す。異文化における適応障害の一種であり、カルチャーショックの一種だ。多民族国家のフランスは移民が多い。そのため、自己主張が強く、ストレートに意見を言う人も多い。日本人のフランス人に対するイメージと現実はかなり違うようだ。そのイメージの違いから、日本人だけがパリ症候群という精神疾患になってしまうという。

 

 樹里は外資系企業に入ったが、事前に抱いていたイメージと現実に大きなギャップを感じ、パリ症候群のような状態になってしまった。日本人は海に囲まれた島に暮らし、長い間単一民族、単一言語で暮らしてきた。そのため多様な民族、文化を持つ人々と一緒に仕事をすることは不得意なのかもしれない。

 

 一方、朴の状況はどうか。彼は専門書を読み、語学学校に通って勉強していたが、会社に評価されたのは友人だった。友人は他の外国人や日本人の仕事を手伝い、実践的な仕事のスキルを身につけていた。
 朴にとってその友人は親友であり、ライバルだった。ライバルに先を越されたショックで、彼は火病になった。火病とは、国際的に認識されている朝鮮民族特有の精神疾患だ。ストレスが原因で体や心に苦痛を覚えるもので、今まで抑圧していた友人や会社への憤り、自分へのいら立ちが、自分自身に向いてしまったのだ。

 

 

>>>次ページに続く

 

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●文/河田俊男(かわだ としお)
1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。

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