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労働ニュースに思うこと

同一労働同一賃金、4月1日より中小企業も義務化に

個人の働き方や企業の人事労務、行政の労働施策など、労働に関するニュースを取り上げ、課題の解説や考察、所感などをつづります。(2021年1月7日)

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 同一企業内における正社員(無期雇用フルタイム労働者)と有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者など、いわゆる非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の解消を目指す「同一労働同一賃金」。
 2020年4月1日に改正施行された「パートタイム・有期雇用労働法」により、すでに大企業では法施行されていますが、いよいよ今年の4月1日より中小企業にも適用されます。

 

 昨年10月、正社員と非正規雇用労働者との間の待遇差を巡る最高裁判決が立て続けに出されました。賞与不支給などが争われた「大阪医科薬科大学事件」、退職金不支給などが争われた「メトロコマース事件」、扶養手当、年末年始勤務手当不支給などが争われた「日本郵便事件」です。

 

 最高裁判決をみても、それぞれの事案が「同一労働同一賃金」という考え方に基づく待遇差について、合理的なのか、不合理とされるのかの判断が難しく、私自身は今一つよくわからないという感想を持ちました。
 以降は、これらの最高裁の判例を踏まえ、企業が同一労働同一賃金に対応する際の考え方のポイントを確認していきたいと思います。

 

 

 

 

「パートタイム・有期雇用労働法」の改正ポイント

 

 まずは、すでに改正施行されている「パートタイム・有期雇用労働法」の改正ポイントは以下の3点です。

 

1.不合理な待遇差の禁止
 同一企業内において、正社員と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止されます。

 不合理な待遇差があるかどうかは、個々の待遇ごとにその性質・目的を考慮して、職務内容や人材活用の仕組み(人事異動や転勤の有無や範囲など)の違いに応じて判断されます。

 

2.労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
 非正規雇用労働者の雇い入れ時と当該労働者から求めがあったとき、事業主は「正社員との間の待遇差の内容や理由」について説明することが義務となります。
※なお、法律で求められているのは「客観的、合理的に説明すること」であり、当該労働者を「納得させる」ことまでは求められていません。

 

3.行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決(行政ADR)の整備
 行政による事業主への助言・指導等や正社員と非正規雇用労働者との間の待遇差等に関する裁判外紛争解決手続き(行政ADR)の規程が整備されました。

 

 

同一労働同一賃金の基本的な考え方

 

 同一労働同一賃金の基本となる考え方は、パートタイム・有期雇用労働法の第8条(均衡待遇)と第9条(均等待遇)に示されています。

 

【待遇差が不合理であるかどうかの判断基準】
(1)職務の内容(業務の内容および当該業務に伴う責任の程度)
(2)職務の内容および配置の変更の範囲(人事異動や転勤の有無、範囲)
(3)その他の事情

 

 第8条では、正社員と非正規雇用労働者との間で、上記(1)から(3)における違いを考慮して、不合理な待遇差を禁止しなければならないと規定していて、これを「均衡待遇」といいます。
 第9条では、正社員と非正規雇用労働者との間で、上記(1)と(2)が同じ場合は、非正規雇用労働者であることを理由とした差別的取扱いは禁止しなければならないと規定していて、これを「均等待遇」といいます。

 

 ここでいう「待遇」とは、基本給や各種手当、賞与、退職金などの賃金のほか、休暇や福利厚生等を含めた待遇全般を指します。同一労働同一賃金への対応は、この待遇のひとつひとつの違いについて検証していくことが必要となります。

 

 

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 ●文/小杉雅和(こすぎ まさかず)
東日本事業本部 データリサーチチーム所属/社会保険労務士
大学卒業後、大手運輸会社に入社し、営業事務職に従事。その後、労働保険事務組合にて、労働・社会保険の各種手続き、相談業務に従事した。1998年、株式会社アイデムに入社。「パートタイマーの募集時時給表」等の賃金統計や「パートタイマー白書」等のアンケート調査を手がける。現在は労働市場に関する情報提供、各種アンケート調査の作成・分析を主に担当。

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