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社会で働くときに、知っておきたいこと、身につけておきたいこと、考えておきたいことなどを解説したり、考察します。(2021年1月28日)
世の中、同じ仕事なのに時給額が違う募集広告が散見されます。よく見かけるのは、「地域」による差。チェーン店などの募集で、東京都の店舗と茨城県の店舗では100円以上の差があったりします。
「なんで! 賃金は仕事に対する対価、働いている場所によって違いがあるのはおかしいじゃないか!」
そんな風に思ったりしますが、元々、賃金は生活の糧を得ることを目的に稼ぐものですから、その地域の物価水準や地域特性なども考慮されてきたようです。例えば、「都心は物価が高いから」とか「北国は寒いので暖房代が高いから」などなど、地域手当なるものがあったりします。国家公務員でも、赴任する地域によって手当の額が違っていたりします。
よく耳にする最低賃金も地域別に決められていて、やはりその地域(都道府県単位)での生計費(物価)など地域の実情を考慮して決められています(そのほか業種ごとに決められている場合もアリ)。というように、地域による賃金の差はある程度許容されているようです。このように、賃金(時給)の決め方には、よ〜く考えてみるとアウトなのか、セーフなのか、判別がつきにくいものがありますね。
オープン時給の凸、研修時給の凹のナゾ
新店オープン時は、店を運営することに必要な人数を一斉に集めなければなりません。オープンイベントやオペレーションに慣れていないために忙しい等の理由から、採用は絶対に成功させなければならないのです。オープン時に時給を高めに設定することで、より多くの求職者に訴求しようという狙いで実施されます。通常時の時給よりも100円以上高いことも稀ではありません。
しかし、普通?に考えると、賃金は能力に応じて上がるもの。それなのにオペレーションに慣れてきたころにはオープン時給は消滅し、もっと安い賃金で働く結果に。「変な制度ですね?」と取材記者さんに問われたこともあります。
一方で、研修時給というものもあります。業務に就くための研修を受けている期間は、時給が低いというもの。一人前の仕事ができるようになるまでは、一人前の給料はもらえないということです。試用期間中の賃金と近いでしょうか。こちらは納得できる感じはします。
こうしてみると、「オープン時給って?」と思ってしまうのですが、土日に忙しいお店などでは土日手当などの繁忙手当のようなものもあります。オープン時の忙しさに対する手当と考えると、おかしくはないのかもしれません。
大学生と高校生
他によく見られるのは、属性による時給の違いです。例えば高校生時給。「時給〇〇円(高校生は〇〇円)」のような募集です。一般的(あくまでも)に、社会経験の多さや深夜時間帯に働ける等の理由により、「ちょっと高校生だと物足りないな…」と思っている方が多いのかもしれませんね。
「オープン時給」も「高校生時給」も、ともに利点を感じる方により良い待遇を与えていますが、ステレオタイプな見方でおかしいと言えるかもしれません。とはいえ、明確に否定する根拠もないようです。
実は、賃金の額の決定に関しては、最低賃金以外に明確に規定する法律はありません(私の知り得る限りですが※)。「同一労働同一賃金って言わない?」というご質問もいただくことがありますが、まずこの法律が規定しているのは、いわゆる非正規労働者と正規社員の待遇格差についてなので、同じ雇用形態における待遇の違いについては範疇外です。この法律が該当するとしても、ポイントは「待遇格差は不合理かどうか」で、賃金の額の具体的な基準はどこにも示されてはいません。
※唯一、派遣法に関して同一労働同一賃金に関し、職種と経験年数によって、幾通りかの賃金の下限が提示されたものがあります
もちろん一番好ましいのは、同じ仕事であれば誰でも同じ賃金。同じ仕事で能力に差があるのであれば、能力に応じた賃金であることが望ましいことに違いはありません。しかし、基本的に募集時の賃金額は、雇い入れる側が勝手に決められるものなのです。
アウトな時給
セーフであろうものばかりではありません。今までと似たケースでも、中には完全にアウトの場合もありますので注意が必要です。先ほどの例にも挙げている研修時給、または高校生時給でよく見られます。「研修期間はマイナス○○円」「高校生はマイナス○○円」といったものです。
ここでチェックしたいのは、最低賃金。最近では地域別最低賃金の引き上げが毎年行われてきたため、アルバイトの募集時時給と最低賃金がほぼ同額となっているケースも少なくありません。このような場合、マイナスされた時給額が最低賃金を下回っているケースがあります。
中には、最低賃金法には試用期間中の賃金が最低賃金を下回ることは例外として認められていると答える企業もあるかもしれません。この例外があるのは事実ですが、労働局の許可が必要になりますし、許可は簡単におりるものではありませんので確認をしてみましょう。
「深夜はプラス○○円」といった場合も、プラスの金額に注意しましょう。労働基準法では、深夜22時以降早朝5時までは時給額の1.25倍の支払いが必要と定めています。時給が1,000円なら、22時以降は1時間あたり1,250円の支払いが必要。「プラス100円」はアウトです。このように、法律で決められた時給の最低額や、割増率を下回るケースがあるので注意が必要です。
●文/株式会社アイデム 東日本事業本部 データリサーチチーム
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