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個人の働き方や企業の人事労務、行政の労働施策など、労働に関するニュースを取り上げ、課題の解説や考察、所感などをつづります。(2021年5月6日)
改正が相次ぐ理由
近年、労働法の改正が相次いでいます。今年4月1日には下記3つが施行されました。
・正規雇用労働者の中途採用比率の公表(労働施策総合推進法改正)
常時雇用する労働者が301人以上の企業は、「直近の3事業年度の各年度について、採用した正規雇用労働者の中途採用比率」を公表しなければならない。
・同一労働同一賃金全面施行(パートタイム・有期雇用労働法)
非正規労働者と正規労働者の不合理な待遇格差を禁止する法律。先行して大企業に施行されていましたが、中小企業にも適用され全面適用。
・65歳から70歳まで就業確保措置努力義務化(高年齢者雇用安定法)
現在定められている65歳までの雇用確保を70歳までとすることを努力義務化。
改正が相次ぐ背景には、少子高齢化と人々の仕事観やライフスタイルの多様化があります。人口減少による労働力不足と、価値観の多様化に起因する働き方の課題を解消するため、労働行政は柔軟な雇用の確保と、さまざまな層に合わせた環境を整備する方向で動いています。これは裏を返せば、労働法のあり方が、現在の社会状況に適した仕様になっていないことによるものです。そのため、改正が求められるのです。
画一的な働き方をする集団
では、労働法の仕様はどうなっているのでしょうか。そもそも労働法という名称の法律はなく、労働に関するさまざまな法律の総称のことを指します。
労働法の中心となっているのは、1947年(昭和22年)に制定された労働基準法です。労働契約や賃金、就業時間、休息など、労働条件に関する最低基準が定められたものです。
その労働基準法の前身と言えるのが、1916年(大正5年)に施行された工場法です。工場法は、主に工場で働く女子や年少者の労働を規制したものです。工場は、労働者が同じ時間・場所で、指示に従いながら働きます。画一的な働き方なので、規制も画一的なものでした。それを引き継いだ労働基準法は、同じ時間・場所で働く人たちを対象にしたものということになります。つまり労働法は、画一的な働き方をする集団の保護を根底にしています。
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●文/三宅航太
2004年、株式会社アイデム入社。東日本事業本部データリサーチチーム所属。同社がWebサイトで発信する「人の戦力化」に関するコンテンツの企画・編集業務に従事する。さまざまな記事の作成や数多くの企業を取材。
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