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ココロの座標/河田俊男

第67回「事故が奪ったもの」

人の心が引き起こすさまざまなトラブルを取り上げ、その背景や解決方法、予防策などを探ります。(2021年10月12日)

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 労働災害は、毎日のようにどこかで起きている。建築や解体、道路の工事現場、工場など、さまざまな場所で発生する。亡くなる人もいれば、奇跡的に生き残る人もいる。事故の影響で、被害者の家族や関係者の中には人生が狂ってしまう人もいる。

 

 

頭にボルトが落ちた

 

 和哉はサーフィンのできるビーチの近くに住んでいた。早朝サーフボードを持って海に行き、サーフィンを楽しんでから出勤する。憧れていた生活だった。ある日、同じサーファーの由香里と知り合った。2人は意気投合し、一緒に暮らすようになった。同棲して1年が過ぎ、結婚の約束も交わした。

 

 和哉はクレーンを操るオペレーターの仕事をしていた。その日、最初の作業は搬入された資材を下ろすことだった。ヘルメットかぶってクレーンに乗ろうとしたとき、上からボルトが落ちてきた。ボルトはヘルメットを突き抜け、和哉の頭に刺さった。すぐに救急車で病院に運ばれ、緊急手術になった。

 

 

 

 

後遺症

 

 知らせを受けた由香里は、急いで病院に駆けつけた。長い手術だったが、和哉は奇跡的に助かった。しばらく入院することになり、医師には「今後、後遺症が出てくる可能性があります」と言われた。体の異常はなかったが、以前のように働ける精神状態ではなかった。事故後、まったく気力がなくなってしまったのだ。

 

 和哉は精神的に幼くなり、すぐに泣いたり、怒ったりするようになった。由香里と一緒に実家に帰ると、和哉は母親に甘えた。早朝サーフボードを抱えて海に行くたくましい男とは、ほど遠い人間に変わってしまった。さんざん悩んだ末、由香里は和哉と別れる決断をした。1人になった由香里は、和哉と出会ったビーチで海をながめた。同じ海のはずなのに、すべてが変わってしまったように見えた。

 

 

事故を起こしたのは…

 

 和哉の頭にボルトを落としてしまったのは、とび職になって5年の駿太郎だった。その日、駿太郎は現場に一番早く来ていた。いつものように準備体操をしっかりして、十分に体を温めた。少しでも体が思うように動かないと、事故のもとだからだ。仲間が集まると、入念に服装や道具を確認し、作業の打ち合わせをした。そして駿太郎が現場に入ろうとしたとき、仲のいい現場監督から「ちょっと手伝ってくれない?」と声をかけられた。資材を危険のない場所に移す作業だった。しばらく手伝っていると親方に呼ばれた。駿太郎は「戻るよ」と言い、親方に合流した。

 

 高所作業をはじめるとき、駿太郎は手袋に土がついていることに気づいた。手袋を替えるかどうか、迷った。安全のために、必ず新しい手袋をすることが習慣になっていたからだ。仲間はすでに作業を始めている。「気をつけてやれば大丈夫だろう」と思い、高いところにあがって作業を始めた瞬間、手にしたボルトがすべり落ちた。

 

 

すべてが変わった

 

 駿太郎は現場監督に事故の経緯を報告し、警察にも事情を話した。事故のショックで、その夜は一睡もできなかった。仕事に行く気力がなくなり、しばらく休むことにした。事故から1カ月が経過してもPTSDが激しく、仕事を辞めた。

 

 彼は2年前に結婚して子供が生まれ、新居を建てたばかりだった。楽しく、明るい未来になると思っていた。だが、事故ですべてが変わった。駿太郎は昼から酒を飲み、無気力な人間になってしまった。結婚生活もつらくなり、離婚を考え始めた。

 

 

 

>>>次ページにつづく

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につづく 

 


●文/河田俊男(かわだ としお)
1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。

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