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近年、労働関係の訴訟は社会的関心が高まり、企業にとって労使トラブル予防の重要性は増しています。判例をもとに、裁判の争点やトラブル予防のポイントなどを解説します。(2022年5月31日)
【事案の概要】
原告は試用期間3カ月として被告会社(インプラント、手術用具等の製造販売が主な業務)に入社し、営業業務、その他事務作業に従事していました。なお、採用面接時、原告はパソコンの使用に精通していると述べており、被告会社は原告が「パソコン操作及び営業活動の経験と能力を有する」と判断して採用しました。
入社後、原告は、緊急を要する商品の発送を上司から頼まれたにもかかわらず、急を要しないパソコンの入力作業を止めず、依頼を受けてから30分程度たってから事務所を出発するといったことが3回程度ありました。また、パソコン内に入力済みの送信先に、作成済みの文書をアプリケーションソフトを使って送信する作業を期待されていましたが、指導を受けても満足に行うことができず、結局この業務は上司が行うことになりました。
そのほか、コピー取りや資料作成を命じられても、特に急ぎの作業を行っていたわけでもないのに応じなかったり、重要な業務のために従業員は必ず出勤する慣行となっている日に休暇をとったりしました。このようなことがあり、被告会社は試用期間満了直前に原告を解雇しました。原告はこれを解雇権濫用に当たるなどと主張し、会社を相手に賃金支払などを請求する訴えを起こしました。
【裁判所の判断】
裁判所は、試用期間の趣旨・目的について「労働者を実際に職務に就かせてみて、採用面接等では知ることのできなかった業務適格性等をより正確に判断し、不適格者を容易に排除できるようにするもの」としました。
そして、このような趣旨・目的からすると「試用期間中の解雇については、通常の解雇の場合よりも広い範囲における解雇の自由が認められる」としました。ただ、雇用継続に対する期待があることから「客観的に合理的な理由」があり、「社会通念上相当」と認められる場合に「解雇が許される」としました。その上で本件解雇についてはこれに当てはまるとし、解雇を有効としました。
【解説】
試用期間とは何でしょうか。試用期間は自由に解雇できる期間ではありませんが、一方で試用期間の趣旨に沿った運用をしっかりと行っているケースも、実はそれほど多くないのではないかという気がします。労働者も試用期間中は特に問題なく勤務し、試用期間が終わってから問題を起こす場合もなくはありません。ですので、的確に判断するのは難しいと思いますが、試用期間中、漫然と業務を行わせていることも多いのではないでしょうか。
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●文/岡正俊(おか まさとし)
弁護士、杜若経営法律事務所代表。1999年司法試験合格、2001年弁護士登録(第一東京弁護士会)。専門は企業法務で、使用者側の労働事件を数多く取り扱っている。使用者側の労働事件を扱う弁護士団体・経営法曹会議会員。
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