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ココロの座標/河田俊男

第82回「余命宣告を受ける」

人の心が引き起こすさまざまなトラブルを取り上げ、その背景や解決方法、予防策などを探ります。(2023年1月24日)

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 生きていれば、誰でもショックな出来事に遭遇することがある。自分が不治の病になり、医師から余命宣告を受けることは人生における最大のショックかもしれない。

 

 

最高だぜ!

 

 45歳の海斗は、建設機械のリース会社に勤務している。背中が痛くて鎮痛剤を飲んでいたが一向によくならないので、大学病院の整形外科を受診した。ガンの疑いがあり、精密検査をすると、医師から「肝臓ガンのステージ4で、余命3カ月〜半年ほどです」と宣告された。予想を超える最悪の結果に、海斗は思わず「最高だぜ!」と叫んでしまった。それは海斗の好きなハリウッド映画のセリフだった。FBI捜査官がマフィアに潜入した実話を映画化したもので、マフィア役の俳優がいいことが起きても、悪いことが起きても「最高だぜ!」と口癖のように言うのだ。

 

 

 

 

希望を失う

 

 余命宣告を受けた海斗は、会社に退職を申し出た。すると上司は「セカンドオピニオンは考えないのか? 病院を探すなら手伝うぞ」と言ってくれたが、海斗はその話を丁重に断った。そこまでの心の余裕を持てなかったからだ。
 会社を辞めた海斗は、うつ状態になった。何も手につかない状態だったが、2週間ほどすると少し冷静になってきた。自分の死を受け入れたわけではないが、「人生はあとわずかしかない」ことを覚悟した。

 

 ある日、都心のコーヒーショップに入り、これから何をしたいかを考えた。ふと窓の外を見ると、すべてがオモチャのように見えた。ビルは段ボールを組み立てたようで、人は動く人形のように見えた。今見ている風景は遠い過去のようにも、遠い未来のようにも見えて、現実とは思えなかった。希望を失った世界に見えた。

 

 

価値観の激変

 

 時間がたつにつれて、海斗のうつ状態は改善し、今までの価値観が激変した。半年待ってようやく手に入れた自動車も、まったく魅力を感じなくなった。高いローンを組んで買った家も、無用のものになった。海斗は持っているものを手放すことを決め、自動車や自宅などを処分することにした。

 

 そして寺に行って般若心経を写経し、心が洗われたような感覚になった。敷地の庭に咲く花がとても綺麗に見えた。特別な花ではないが、精いっぱい咲いているのを見ていたら、なんとなく自分の人生は「これでいい」と思えた。そう思ったら涙が止めどなく流れてきた。余命宣告以来、はじめてのことだった。海斗は人目を気にせずに泣いた。悲しいわけでも、うれしいわけでもない。「これでいい」という涙だった。

 

 写経の帰りに家の近所の庭に咲く赤い山茶花を見て、はじめて綺麗だと思った。すると突然、今まで出会ったすべての人々に対する感謝の気持ちがわいてきた。海斗は今まで、人に出会えたことを感謝したことはなかった。両親にも感謝の気持ちがわいて、不思議な気分になった。
 道端に落ちている枯れ葉や石ころ、雑草にも愛を持って接し、感謝して生きてみたいという気持ちになった。そんな気持ちになると、雑草から話しかけられるような感覚になった。

 

 

希望を探す

 

 海斗は、希望は未来にあると思い込んでいた。しかし、その未来は誰も知らないし、見たこともないものだ。そこで私は「希望はまだ見ぬ未来にばかりあるのではなく、今まで生きてきた人生の中にもある。それを探してみては」と言った。人は多くの希望を持って生きてきたはずだが、ほとんどの人はそのことに気がつかない。

 

 人生はよく旅にたとえられるが、旅の思い出にはたくさんの希望が隠れているはずだ。子供の頃に遊んだことや願った夢、絵を描いて褒められたこと、友達と朝まで語り合ったこと、恋人と出会えたことなど、希望は尽きないはずだ。
 また、海斗は社会貢献がしたいと考え、体調のいいときはさまざまなボランティア活動に身を投じた。少しでも人の役に立ちたいという希望を叶えることができた。

 

 

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につづく

 


●文/河田俊男(かわだ としお)
1954年生まれ。心理コンサルタント。1982年、アメリカにて心理療法を学ぶ。その後、日本で心理コンサルティングを学び、現在、日本心理相談研究所所長、人と可能性研究所所長。また、日本心理コンサルタント学院講師として後進を育成している。翻訳書に「トクシック・ピープルはた迷惑な隣人たち」(講談社)などがある。

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