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判例に学ぶ労使トラブルの処方箋/岡正俊

セクハラがあったとき、会社の責任は?〜T菓子店事件(東京高裁H20.9.10判決、労判969号5頁)〜

近年、労働関係の訴訟は社会的関心が高まり、企業にとって労使トラブル予防の重要性は増しています。判例をもとに、裁判の争点やトラブル予防のポイントなどを解説します。(2023年5月30日)

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【事案の概要】
 本件は、被控訴人(一審被告)が経営するB菓子店で契約社員として勤務していた控訴人(一審原告)が、店長Aからセクシュアルハラスメント(セクハラ)等を受けたとして被控訴人会社に対し、損害賠償を請求した事案です。なお、加害者とされているAは被告とされていません。

 一審では請求が棄却されたので、控訴人は控訴しました。二審で、店長Aのセクハラ等の発言として裁判所が認めたものは次のようなものです。

(1)勤務時間中の発言
「頭がおかしいんじゃないの」「僕はエイズ検査を受けたことがあるから、〇〇さんもエイズ検査を受けた方がいいんじゃないか」「秋葉原で働いた方がいい」(メイド喫茶で働くのが向いているという趣旨)

(2)勤務時間後居酒屋等での発言
「処女にみえるけど処女じゃないでしょう」「Bにいる男の人と何人やったんだ」「何かあったんじゃない?キスされたでしょ?」「俺にはわかる、知ってる」






【裁判所の判断】
 高裁は、上記(1)のAの発言について、Aと控訴人が上司と部下という関係にあり、打ち解けて話すような間柄でなかったこと、控訴人がAの各発言を性的な行動をやゆし又は非難するものと受け止めたことから、男性から女性に対するものとしても、上司から部下に対するものとしても「許与される限度を超えた違法な発言」としました。

 上記(2)の発言についても、当日の飲食自体がAと控訴人とが店長と契約社員との関係にあったことを抜きにしては考えられないものであったことに照らし、就業時間終了後の出来事であったことを理由にAの言動が「店長の立場と無関係であったとはいえない」としました。

 このようにAの発言を違法とした上で、Aの使用者である被控訴人の責任については、Aが被控訴人の経営する店の店長として、部下である控訴人に対して職務の執行中ないしその延長線上における慰労会ないし懇親会において行ったものであり、被控訴人の事業の執行について行われたものと認められるとしました。

 被控訴人は、特に(2)の発言について使用者責任(民法715条)を争っていました。ですが、店の従業員全員が参加し、飲食費は割り勘ではなくA、又はAと他店店長が負担したことに照らすと、店の営業に関連しており、店長であるAが慰労と懇親のために出席し、2次会終了までの飲食についてはAが主導していたとし、被控訴人の主張を認めませんでした。結論としては一審判決を取り消し、被控訴人に損害賠償を命じました。
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につづく


●文/岡正俊(おか まさとし)
弁護士、杜若経営法律事務所代表。1999年司法試験合格、2001年弁護士登録(第一東京弁護士会)。専門は企業法務で、使用者側の労働事件を数多く取り扱っている。使用者側の労働事件を扱う弁護士団体・経営法曹会議会員。
https://www.labor-management.net/
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