ある求人関連企業のアンケート調査※によると、転職理由として73.2%の退職者が「人間関係」を主な理由として挙げています(「社内の雰囲気が悪い」26.9%+「人間関係が悪い/うまくいかない」26.6%+「ハラスメントがあった(セクハラ・パワハラ・マタハラなど)」19.7%。人間関係の悪化に起因する項目の総計)。その中でも、約2割がパワハラを含む「ハラスメント」が原因となっています。
パワハラについては、職場での研修が増えて対策が取られているものの、現場では大きな改善が見られず、依然として離職原因の大きな要因となっています。パワハラが横行する職場は、心理的安全性が確保されないので、スタッフは不安な心境で仕事をすることになります。ストレスを感じることが多くなり、それが続くと心身の健康を害することにつながります。当然ですが、そういう職場で長く働きたいとは思う人はいないでしょう。
人間関係が悪化する理由
なぜ、パワハラが起こり、人間関係が悪化するのでしょうか。それは、職場で働く人たちがお互いのことを理解していないことが一因です。例えば、著名人のSNSに誹謗中傷の書き込みが行われることがありますが、心無いコメントは、対象となる著名人のことをよく知らない人たちによるものです。よく知らないから、無責任に悪意のある書き込みができるのです。
これは職場でも同じです。普段、机を並べて仕事をしていたとしても、同僚が「どういう人生を歩んできたのか?」「どんな夢を持っているのか?」「何が趣味なのか?」など、知らないことの方が多いのではないでしょうか。その人が持つ背景が分からない相手に対しては、ちょっと気に食わないことがあれば「いじめてやろう」「無視をしてやろう」という気持ちになりやすく、それがパワハラの元凶となり、人間関係の悪化を招きます。では、どうすれば職場の人間関係をよくできるでしょうか?
改めての自己紹介
私が企業研修で行っている、『改めての自己紹介』と呼ぶ15分程度で行えるワークをご紹介します。これは、職場の人間関係を良好にし、互いの理解を深めることを目的としています。
まず、A4用紙に『出身校』『出身地(都道府県)』『趣味』『好きな食べ物』『ペットの話』『プチ自慢できること』『子供時代の夢』『学生時代に取り組んでいたこと』『今はまっていること』『ニックネーム』などについて書き込んでもらいます。記入後、全員の前で各自が内容を発表し、感想を述べたり、質問を受けたりするというワークです。
●文/岡本文宏(おかもと ふみひろ)
メンタルチャージISC研究所株式会社代表取締役、繁盛企業育成コーチ
アパレル店勤務、セブンイレブンFC店経営を経て、2005年メンタルチャージISC研究所を設立。中小企業経営者、エリアチェーンオーナー、店長などに向けた小さな組織の人に関する問題解決メソッドや、スタッフを活用して業績アップを実現する『繁盛店づくり』のノウハウを提供している。『仕事のできる人を「辞めさせない」15分マネジメント術』(WAVE出版)、『人材マネジメント一問一答』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『店長の一流、二流、三流』(明日香出版)、『繁盛店のやる気の育て方』(女性モード社)など著書多数。
https://okamotofumihiro.com/