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事例で考える困ったときのマネジメント対応/山田真由子

第4回「発達障害の可能性がある人がいたら」

働き方や価値観が多様化する中、マネジメントは個別対応が求められています。さまざまな事例から、マネジャーに求められる対応を解説します。(2024年7月16日)

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発達障害がある人の雇用

 
ニューロダイバーシティ(Neurodiversity、神経多様性)という言葉をご存じですか?

 Neuro(脳・神経)とDiversity(多様性)という2つの言葉を組み合わせたもので、「脳や神経、それに由来する個人レベルでのさまざまな特性の違いを多様性と捉えて相互に尊重し、それらの違いを社会の中で活かしていこう」という考え方のことです。ダイバーシティの一種であり、発達障害のある方にフォーカスした概念です。経済産業省はニューロダイバーシティを掲げ、自閉症・ADHDといった症状を持つ発達障害のある方の雇用を積極的に推進しています。

 発達障害とは、脳の働き方の違いによって脳内の情報処理や制御に偏りが生じ、日常生活に支障を来している状態のことです。今回は、発達障害の可能性がある方に対する適切な対応について考察します。



■今回の事例
 Aさん(38歳女性)は、デイサービスとケアプランセンターが併設されている施設にケアマネジャーとして入社しました。前職でも同じようにケアマネジャーをしていたので、即戦力として期待されていました。しかし、入社後1カ月が経過したころから、利用者の家族からAさんに「頼んでいたお弁当の手配の件、どうなりましたか?」「電話をしても折り返しがない」などといったクレームが入るようになりました。また、Aさんは記録についてもミスが多い状況でした。

 そこで主任ケアマネジャ―のBさん(45歳女性)は、Aさんをフォローすることにしました。指導時にBさんが「分かりましたか?」というと、Aさんは必ず「分かりました」と返答しますが、その後も改善は見られませんでした。Bさんは当初、Aさんに対して「まだ職場に慣れていないのかな?」と思っていましたが、入社から数カ月たっても状況は変わりません。

 Bさんは、Aさんの様子から「発達障害の可能性があるのでは?」と考えましたが、どうしたらよいのでしょうか?


■解説
診断できるのは医師だけ

 最近、ネットでは発達障害に関する記事が多く、関連セミナーが開催されているのも目にします。ですが、ネットの情報をうのみにして、発達障害だと決めつけるようなことがあってはいけません。発達障害と診断できるのは、医師だけです。また、発達障害の可能性があって病院に行っても、発達障害と診断されない方もいらっしゃいます。
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●文/山田真由子(やまだ まゆこ)
山田真由子社会保険労務士事務所代表。特定社会保険労務士、公認心理師、キャリアコンサルタント。26歳のときに3度目の受験で社会保険労務士に合格。さまざまな業種にわたり、約15年のOL 生活を経て、2006年12月に独立開業。現在、「誰もが輝く職場づくりをサポートする」をミッションとして活動している。経営者や総務部担当者などから受けた相談件数は延べ10,000件以上、セミナー登壇は1,500回以上を数える。著書に『外国人労働者の雇い方完全マニュアル』(C&R研究所)、『会社で泣き寝入りしないハラスメント防衛マニュアル部長、それってパワハラですよ』(徳間書店)、『すぐに使える!はじめて上司の対応ツール』(税務経理協会)。
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