1年以内に新卒者の半数以上が退職
私の仕事は、担当しているお客様のニーズをお聞きし、研修など人材育成プランの企画をしています。その中で最も多いテーマは管理職、中堅社員、若手社員など階層別の育成ですが、課題解決を目的とした内容では、ここ数年、パワハラやカスハラ対策、そして早期離職防止策が多くのお客様から相談を受けています。今回は多くの組織が行っている、研修の効果測定について書かせていただきます。
新卒1年目社員の離職に悩む、ある量販店の事例をご紹介します。毎年20名前後の新卒社員が入社しますが、ここ数年は1年以内に半数以上が退職する状況に、人事ご担当者は頭を抱えていらっしゃいました。
そこで、2024年度がスタートする前に、新卒配属店舗の店長を集め、研修を行うことになりました。2023年10月〜2024年3月までの半年間に計3回の研修、それぞれに事前課題・事後課題を設けました。理由はこの後ご紹介しますが、結果は2024年度新卒社員の1年以内退職者は、やむを得ない理由がある1名のみとなり、研修の目的を果たすことができました。
研修の効果を評価する基準は?
さて皆様の職場では、研修が良かったかどうかを判断される基準はなんでしょうか?
私が学んできたインストラクショナル・デザインでは、学習や研修の成果を評価・測定するモデルとして、「カークパトリックの4段階評価法」というものがあります。アメリカでは約7割の企業が採用し、日本でも広く普及しているため、ご存じの方が多いと思います。簡単に言えば、学習の成果をどのように評価するのか、レベル1からレベル4までの4段階に分類しています。下の図をご覧ください。
●【レベル1】反応
受講者の感想などのよる評価で、満足度や理解度などが評価項目になります。多くは研修終了後にアンケート式で行われます。
●【レベル2】学習
受講者が研修内容について知識やスキルを得たかどうかを評価します。受講後に確認テストやロールプレイング等を通じて行われることが一般的です。
●【レベル3】行動
受講後、現場で行動が変化したか、研修で得た知識やスキルを現場で活用しているか等を評価します。上司に対するアンケートやヒアリングを通じて行われることが一般的です。
●【レベル4】成果
研修によって行動が変化した結果、仕事にどのような変化を与えたかを評価します。売上、利益、定着率など数字で表せる指標を使うことが一般的です。
前述の事例では、離職率の減少という「レベル4:成果」を測定しています。しかし多くの場合、「レベル3:行動」を測定することを目標にするのが良いと思っています。なぜなら「レベル4:成果」は、研修効果としての因果関係を判断するのが難しいことが多く、また、「レベル1:反応」や「レベル2:学習」では、今後継続すべきかどうかの判断材料としては不足していると考えるからです。
●文/松嶋清和(まつしま きよかず)
株式会社アイデム メディアソリューション事業本部キャリア開発支援チーム/人材育成・研修プランナー
特定社会保険労務士、メンタルヘルス・マネジメント検定�擬�
大学卒業後、大手アパレル商社に勤務、全国の小売店との相談・折衝業務に従事する。その後1998年に株式会社アイデムに入社してからは、13年間に延べ3,000社以上の経営者・人事担当者らと面談。求人広告の営業担当として、採用および人材活用に関する提案を続けてきた。2010年11月以降は同社「キャリア開発支援チーム」にて、採用後の人材育成、教育・研修に特化した企画提案を行っている。