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判例に学ぶ労使トラブルの処方箋/岡正俊

降格人事を決めるときの留意点〜K社事件(東京高裁H23.12.27判決、労判1042号15頁)〜

近年、労働関係の訴訟は社会的関心が高まり、企業にとって労使トラブル予防の重要性は増しています。判例をもとに、裁判の争点やトラブル予防のポイントなどを解説します。(2025年6月24日)

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【事案の概要】
 本件の発端は、産休・育休後に復職した女性が、担当職務を変更された上、減給されるなどの不利益を受けたことによるものです。一連の人事措置は、妊娠・出産をして育児休業等を取得したことに対する差別ないし偏見に基づくものであり、人事権の濫用に当たる等として、女性が会社に賃金請求(降格・減給後の給与額と降格・減給前の給与額との差額)の支払い等を請求した事案です。

 地裁判決では賃金請求等が棄却されたため、控訴人(女性)が控訴しました。産休・育休後の不利益取り扱いとして、いわゆるマタハラの問題でもありますが、判決として降格一般に関する判断がなされていますので、この点を解説したいと思います。





【裁判所の判断】
 高裁は、被控訴人(会社)が控訴人(女性)の職場復帰に伴い、控訴人の役割グレードを「B-1」から「A-9」に引き下げ、その役割報酬を550万円から500万円に減給させたこと等を違法と判断しました。その理由について、高裁は次のように言っています。

 まず、役割報酬の引き下げは、労働者にとって最も重要な労働条件の1つである賃金額を不利益に変更するものです。高裁は、就業規則や年俸規程に明示的な根拠もなく、労働者の個別の同意もないまま、「使用者の一方的な行為によって行うことは許されない」としました。そして、役割グレードの変更についても、そのような役割報酬の減額と連動して行われる以上、労働者の個別の同意を得ることなく、使用者の一方的な行為によって行うことは許されないというべきで、それが担当職務の変更を伴うものであっても「人事権の濫用として許されない」としました。

 このような判断を前提に本件を検討し、次のように言っています。本件は、担当職務の変更に伴って役割グレードが「B-1」から「A-9」へ、それに連動する形で報酬グレードが「6」から「5-1」へ変更され、役割報酬が年550万円から年500万円に減額されています。そのような大幅な報酬の減額を伴う役割グレードの変更を、就業規則や年俸規程に明示的な根拠もなく、個々の労働者の同意を必要とせず、使用者である被控訴人の一存で行うことができるとすることは、労使双方の対等性を損なうものとして「許容することができない」としました。
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●文/岡正俊(おか まさとし)
弁護士、杜若経営法律事務所代表。1999年司法試験合格、2001年弁護士登録(第一東京弁護士会)。専門は企業法務で、使用者側の労働事件を数多く取り扱っている。使用者側の労働事件を扱う弁護士団体・経営法曹会議会員。
https://www.labor-management.net/
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