「人材の活用」「従業員の教育」「人事制度」等について、事例満載の記事や専門知識が深まるコラム等を展開。自社の活性化や雇用管理のヒントに!

「経営者やパート従業員の意識」等について、さまざまなデータを作成。労働市場の現状が分かります。

*一部記事の閲覧および機能をご利用いただくには、会員登録(無料)が必要です。会員登録はこちら

「平均時給 の検索」「時給の平均や動向」等について、データを作成。労働市場の現状が分かります。

*一部記事の閲覧および機能をご利用いただくには、会員登録(無料)が必要です。会員登録はこちら

アイデム人と仕事研究所では、「ビジネスマナーのブラッシュアップ」「新入社員の戦力化」「職種別・階層別の知識・スキルアップ」等につながるセミナーを開催しています。

*一部記事の閲覧および機能をご利用いただくには、会員登録(無料)が必要です。会員登録はこちら

判例に学ぶ労使トラブルの処方箋/岡正俊

始業2時間半前に出社、早出残業代はつくか?〜Y社事件(静岡地裁沼津支部R2.2.25、労判1244号94頁)〜

近年、労働関係の訴訟は社会的関心が高まり、企業にとって労使トラブル予防の重要性は増しています。判例をもとに、裁判の争点やトラブル予防のポイントなどを解説します。(2025年10月21日)

< 1 2 >
【事案の概要】
 本件は鋳造工場で働く従業員(原告)が労災と解雇に関して、会社に損害賠償を求めた事案です。いくつか争点がありますが、ここでは原告がタイムカードの打刻記録に基づき、いわゆる「早出残業」に対する残業代の支払いを求めた点について解説します。





 原告はタイムカードの記録を根拠に、始業時刻(午前8時)の2時間半も前である午前5時30分頃から出社し、用具の修理、工場内の塗装、工具棚の製作、書類作成といった業務に従事していたと主張しました 。

 一方、会社側は、時間外労働はやむを得ない場合に限り、課長または班長から指示した者に行わせるという社内ルールを設け、このような指示によって時間外労働を行ったことは「日報に作業内容や作業時間を記入して管理している」と主張しました。また、原告に早出残業の必要性はなく、通勤ラッシュを避けるために早く出社し、始業時刻まではカメラや釣竿を触ったり、プラモデルを作成したり、「趣味の時間を過ごしていたに過ぎない」と主張しました 。


【裁判所の判断】
 結論として、裁判所は原告の請求を退け、タイムカードに打刻された始業時刻前の時間は「労働時間に該当しない」と判断しました。裁判所はまず「労働時間に該当するかどうか」は、労働者が「使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否か?」によって客観的に定まるという一般原則を確認しました。

 その上で、始業時刻前の早出残業は終業後のいわゆる居残残業とは異なり、「業務上の必要性があったのかについて具体的に検討されるべき」との考え方を示しました。早出残業は、通勤時の交通事情から遅刻をしないように早めに出社する場合や生活パターンといった「労働者側の事情」により、特に業務上の必要性がないにもかかわらず行われることも一般的にまま見られるとしています。

 そして本件では、会社が前記のような労働時間管理を行っていたこと、午前7時30分より前の工場内の点灯を原則禁止していたことから、原告が「始業時刻より約2時間半も早く出社する必要性があったとは認められない」としました。
※次ページ以降の閲覧には、会員登録(無料)が必要です
<会員サービスのご案内はコチラ>


●文/岡正俊(おか まさとし)
弁護士、杜若経営法律事務所代表。1999年司法試験合格、2001年弁護士登録(第一東京弁護士会)。専門は企業法務で、使用者側の労働事件を数多く取り扱っている。使用者側の労働事件を扱う弁護士団体・経営法曹会議会員。
https://www.labor-management.net/
< 1 2 >

この記事のキーワード

クリックすることで関連する記事・データを一覧で表示することができます。

一覧ページへ戻る

2ページ目以降をご覧になるには、会員ログインが必要です。
会員登録(無料)がお済みでない方はこちら

会員登録(無料)はこちら

その他のコラム記事を見る

人気記事ランキング

労働ニュースに思うこと

[採用がうまくいっていない企業の共通点]
個人の働き方や企業の人事労務、行政の労働施策など、労働に関するニュースを取り上げ、課題の解説や考察、所感などをつづります。

こころの守り方/吉村園子

[意見がぶつかったときの考え方]
仕事をしていれば、誰でもストレスを感じることがあります。ふさいだ気持ちを切り替えたり、不安な心を立て直したりする考え方を解説します。

【現場に学ぶ】繁盛企業のマネジメント/岡本文宏

[買い手目線になる〜自ら気づき、動くスタッフを育てる〜]
著者が実際に見聞きした事例をもとに、人の定着や戦力化などに関する取り組み方法や解決策などをお伝えします。
注目のコンテンツ

人と仕事研究所Facebook