性格ではなく、行動。抽象的ではなく、具体的に
今回も「正すマネジメント」について、話を進めたいと思います。
なぜなら、「教えるマネジメント」「引き出すマネジメント」「任せるマネジメント」に比較して、「正すマネジメント」を苦手としている管理職の方が、本当に増えているからです。部下に対して、間違いを指摘したり、叱ったりすると、すぐに相手から「パワハラだ」と騒がれることがあり、厳しく接することに臆病になっているのです。
前回、前々回のコラムでもお伝えしたように、部下の問題行動を望ましいものに正すことは、上司の責務です。部下の問題行動に対し、見て見ぬふりをしてやり過ごしてしまうのは、上司の役割放棄に他なりません。
読者の方からも、事例のようなものをベースにもっと「正すマネジメント」を学びたいという声が届いており、あらためて「正す」ときのポイントを以下に分かりやすく整理しておきます。ぜひ部下の成長のためにも「正すマネジメント」を自分のものにしていただければと思います。

1. 性格ではなく、行動に対する指摘
問題行動を正す場合は、相手の人格を否定してはいけません。あくまでも、社会人として(その会社・組織の一員として)ふさわしくないと思われる行動を、望ましい行動へと変化してもらうことが目的になります。
なので、「その引っ込み思案の性格をなんとか直して、人前でもしっかり話せるようにしなさい」という指摘はNGです。「事前にしゃべる内容をしっかり原稿にまとめておいて、何度も練習すると、落ち着いて人前でも堂々と話せるようになるよ」という行動レベルでのアドバイスが有効になります。
2. 抽象的ではなく、具体的なアドバイス
「正す」場合は、抽象的なアドバイスではなく、具体的な行動レベルでの指摘が求められます。「もっと効率よく仕事をしなさい」という指導自体は間違ってはいないのですが、言われた相手は、「じゃあ、どう効率よくすればいいのか」が分からないのです。これでは行動改善は期待できません。
たとえば、「ゼロから企画書を作るんじゃなくて、商品ごとの提案書のひな型フォーマットをあらかじめ作っておいて、それを顧客ごとにアレンジして作成したらどう?」、「営業先での隙間時間を利用して、ノートパソコンですぐに顧客データを入力するようにしたらいいよ」など、より具体的なアドバイスが部下の行動を変化させるのです。
●文/田中和彦(たなか かずひこ)
株式会社プラネットファイブ代表取締役、人材コンサルタント/コンテンツプロデューサー。1958年、大分県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、人材サービス関連企業に入社し、情報誌の編集長を歴任。その後、映画配給会社のプロデューサー、出版社代表取締役を経て、現在は、「企業の人材採用・教育研修・組織活性」などをテーマに、“今までに2万人以上の面接を行ってきた”人材コンサルタント兼コンテンツプロデューサーとして活躍中。新入社員研修、キャリアデザイン研修、管理職研修などの講師や講演は、年間100回以上。著書に、『課長の時間術』『課長の会話術』(日本実業出版社)、『あたりまえだけどなかなかできない42歳からのルール』(明日香出版社)、『時間に追われない39歳からの仕事術』(PHP文庫)、『仕事で眠れぬ夜に勇気をくれた言葉』(WAVE出版)など多数。
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