すると、次々に問い合わせの電話が入ってくるようになりました。ただ残念ながら、講演やコンサルタントの問い合わせではありませんでした。「集客にお困りではありませんか?」「ネットを使って見込み客を増やしませんか?」「御社の魅力をネット上でもっと広くお伝えしませんか?」といった売り込みで、業者さんからでした。
多いときには1日に40〜50件電話がかかってきます。すべてとは言いませんが、時間帯的に都合がつくと電話対応していました。その中で、下記のようなやりとりをした業者さんがいらっしゃいました。
業者「三刀流さんのホームページを見て、お電話をしています。御社は、もっとネットで効果的に集客したいと思いませんか?」
私「今のところ、もう少し様子を見たいので、とりあえずは必要ありません」
業者「それはもう十分に集客が足りているという意味ですか? それとも、これ以上かけるお金がないという金銭的な問題ですか?」
私「本当に今のところは満足していますので、必要ないんですよ」
業者「今のホームページやランディングページから、お客様からの受注に結びついていますか? 成果は出ていますか?」
私「まだ受注という形には至っていませんが、一定の効果はあると思っております。現に御社もホームページなどを見て、私どもへお電話いただいているわけですよね。これはある意味、一定の影響力があったという成果だと捉えております」
業者「いや、それは成果とは言えませんね。当社のサービスならば…」
さて、ここで質問です。あなただったら、この業者と契約してみたいと思いますか?
動物は、会った瞬間に「敵か味方か」を判別する
恐らく、あまり気が進まなかったのではないでしょうか。私は正直言って、この会社とだけは契約しないでおこうと思いました。でも、なぜそう思ったのでしょうか?
お気づきの方もいると思いますが、まだ全然サービス内容の説明は受けていないのです。つまり「信頼できるかどうか?」「話を聴いてみたくなるかどうか?」は、サービス(あるいは商品)を知る前の段階で決まっていることが多いのです。
では、ポイントになった部分はどこでしょうか?
ところどころ「失礼だな」と感じる表現もありましたが、私が決定的に拒否反応を示したのは「それは成果とは言えませんね」のパートでした。信頼感を得るためには『ぶつからない』ことが大事なのです。
人間も動物です。動物としての本能が、まだまだ残っているそうです。そのうちの1つに「会った瞬間に敵か味方かを判別する」という本能があるそうです。たしかに野生の動物であれば、対峙した瞬間に「敵か敵でないか」を判別しなければ生命の存亡に関わりますよね。さすがに人間はそこまでではないと思いますが、それでも出会って比較的短い時間で「敵か否か」を判断します。どんな場合に味方(敵ではない)と判断するかというと「自分と共通点が多いかどうか?」なんだそうです。
●文/桑山元(くわやま げん)
研修講師・お笑い芸人・俳優。早稲田大学教育学部を卒業後、大手損保会社に入社。新入社員代表として答辞を務める。入社2年目に資産運用担当者として1,000億円を運用。その後、メインバンク本店担当部署で法人営業を経験。同社を退社後、声優養成所を経て、時事ネタを得意とするコントグループ「ザ・ニュースペーパー」に19年間所属。2022年に退団し、芸人と研修講師の二刀流で活動スタート。会社員時代に培ったビジネススキル、お笑い芸人として磨いたコミュニケーションスキルとアドリブ力などを武器に、企業や自治体などで数多くの研修を実施。メディア出演・掲載実績多数。著書に『すぐ使える!おもしろい人の「ちょい足し」トーク&雑談術』(日本実業出版社)。キャリアコンサルタント(国家資格)、損保代理店資格(特級・一般)、ニュース時事能力検定(準2級)。