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日々、流れてくる、労働関連の多彩なニュース。本コラム欄では、アイデム人と仕事研究所の所員が、そうしたニュースに触れて「思うこと」を、持ち回りで執筆します。
現在、労働政策審議会の労働条件分科会において、今後の労働時間法制のあり方についての検討がされています。
これは、
・「企画型裁量労働制」等の労働時間法制について(「日本再興戦略」において見直しが決められた)。
・月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率引き上げ(平成20年労働基準法改正)の対象企業を中小企業に拡大することを検討(施行3年後に検討予定であったもの)。
主にこの2点を議論することにあります。
労働時間の上限は、労働基準法に定められているにもかかわらず、労働時間についての議論が絶えないのはナゼなのでしょう。
◆ 1=8×3
「8時間は仕事のために、8時間は休息のために、残りの8時間は自分たちのために」
1886年5月1日、メーデーの起源となったアメリカでの労働組合のストライキ・デモ行進の際に歌われた内容だそうです。
この、1日を「労働」「休息」「自由時間」の三等分するという、ワーク・ライフ・バランス的な考え方は、100年以上前からある考え方なのです。
世界180カ国以上が参加する国際労働機関(ILO)で定めている第1号条約でも、1日8時間、週48時間労働を定めており、1日8時間労働は世界標準的な考え方といってもよいかもしれません。
日本においても、労働基準法によって労働時間の上限は、1日8時間、週40時間と定められています。実際に、11月21日に公表された就労条件総合調査によると、日本の労働者一人当たりの「所定労働時間」は1日7時間44分、週39時間25分となっています。
◆ 「労働時間の上限は1日8時間、週40時間までと定められているのに?」
しかしながら、日本は上述のILOの第1号条約の未批准国なのです。
この件に関し、厚生労働省の第12回ILO懇談会(平成21年5月14日)議事要旨に一部見解が示されています。
厚生労働省発言:「ILO条約と我が国の法制が厳密に一致していることが要求される1号条約は基本的には満たしているが、厳密には満たしていない」
この「厳密には満たしていない」というのは、「時間外協定(いわゆる36協定)が締結されていれば、法定労働時間を超えて労働させることができるから」だと言われています。
つまり、原則的な上限は定めていても、例外があって時間外労働をさせることが可能だから。さらに、時間外労働の上限にきちんとした制約が定められていないから。と、いうわけです。
実際に、時間外協定には期間ごとに締結できる時間の上限が定められていますが、「特別条項」というオプションを付け加えれば一定の期間、時間外労働の上限を原則に関わらず、協定できるようになっているのです。
平成25年度労働時間等総合実態調査によれば、時間外協定を締結している事業場のうち、「特別条項」がある割合は40.5%。「特別条項」を採用している企業では、1か月の時間外労働の上限の定めは「60時間超」で72.5%、「80時間超」で21.5%となっています。多くの企業において、1カ月「60時間」以上の残業は必要だと考えていることがうかがえる結果です。
こういった例外が、時間外労働をさせやすくしている原因の一つといわれています。
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◆ 実際にはそんなに働いていない?
◆ コストアップが時間外労働を抑制することに?
◆ 今後の戦力確保は?
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●文/岸川 宏(きしかわ・ひろし)
アイデム人と仕事研究所
【担当分野】労働関連法。賃金統計・アンケート調査等の作成、分析。[社会保険労務士]
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