【第25回】普通の商品を人気商品に変える「バンドワゴン効果」
商談や接客時など、ビジネスシーンに応用できる心理学の知識を解説します。
バンドワゴン効果とは?
バンドワゴンとは行列の先頭の楽隊車のことであり、「バンドワゴンに乗る」とは、時流に乗る、多勢にくみする、勝ち馬に乗るという意味です。多数の支持を受ける物事のほうに引かれる心理のことをいいます。
●解説
ランチタイムにラーメン屋に行くとします。12時すぎのピーク時にガラガラの店と行列をなしている店ではどちらがおいしそうに感じるでしょうか?ほとんどの人は混んでいる店をおいしいと思い、その列に並びたくなります。この現象を「バンドワゴン効果」といいます。
バンドワゴン効果を営業の現場で活用した例です。
住宅展示場で、お客さまが中へ入ろうとして玄関先をのぞいたとします。一足も靴がないのを見て、《こんなところに入ったら営業マンにマンツーマンでマークされ、ゆっくり見られないのでは?》と躊躇するでしょう。そのまま帰ってしまうお客さまもいらっしゃいます。ただでさえ、住宅展示場は敷居が高く、入りづらく感じている人も少なくありません。
そうならないための工夫として、玄関先にダミーの靴を2〜3足並べて置きます。靴を見たお客さまは安心し、期待して入店してくれるのです。さらにそれを見て他のお客さまも…と、人が人を呼ぶという現象が起こるのです。
私自身何度も経験しましたが、ある時間帯はお客さまがゼロになり、1〜2組入ってきたかと思うと一気になだれ込むことがありました。平均的に来てくれないことを不思議に思ったものでしたが、まさにバンドワゴン効果によるものだったのでしょう。
クライアント先の社長の話です。
「お客さまが並ぶまではサクラを3〜4人用意するんですよ」
その会社は大ホールに100個以上のブースが並ぶイベントに出店しています。お客さまはたくさん来るのですが、なにしろ100個以上ですから、ほとんどの人が素通りしてしまいます。そこでサクラを用意します。するとお客さまが足を止めるようになり、あっという間に列ができるのだそうです。バンドワゴン効果を上手に活用した例です。
バンドワゴン効果はチラシやHPにも応用可能です。ある講演会を企画している会社のHPには、50人以上の参加者が所狭しと座っている写真が掲載されています。安心して参加すると、実際は10人にも満たないこともあります。まばらに座っている写真でしたら参加を見送っていたかもしれません。
多くの人が並び、集まっている場面を見ると、お客さまは安心して近づいてくれます。さらにはそのもの自体の価値も上げてくれる、一石二鳥の方法なのです。
菊原智明●営業コンサルタント/関東学園大学経済学部講師。大学卒業後、大手住宅メーカーに入社し、営業部に配属。7年間のダメ営業マンから4年連続トップ営業マンへ。現在は【訪問しないで売る】営業コンサルタント業と、大学で学生に向け【営業の授業】を行っている。著書に『訪問しないで「売れる営業」に変わる本』(大和出版)、『トップ営業マンのルール』(アスカビジネス)など多数。
http://www.tuki1.net/
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