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日々、流れてくる、労働関連の多彩なニュース。本コラム欄では、アイデム人と仕事研究所の所員が、そうしたニュースに触れて「思うこと」を、持ち回りで執筆します。
今回は昨今の人手不足・採用困難状況が、今までの賃金抑制・非正規化の拡大の流れを変化させ、労働条件の改善(賃金上昇・安定雇用)につながっているのかを、各種統計データから探ってみました。
◆人手不足感高まる
8月29日に発表された7月の有効求人倍率は1.10倍(厚生労働省「一般職業紹介状況」)、失業率は3.8%(総務省「労働力調査(速報)」)。有効求人倍率は先月と同水準、失業率は0.1ポイントの悪化となった。数値の改善に一服感はあるものの、有効求人倍率は約22年ぶりの高水準となっている。今や、募集をしてもなかなか応募者が集まらない状況となってきている。
◆人手不足は労働条件の改善につながっているか?
当然、「募集をしてもなかなか人が集まらない」という状況になれば労働条件を良くして労働市場内での競争に勝つ必要がある。労働者側からしてみれば、賃金の高さ、安定した雇用、働きやすい環境(休日、休暇等)が代表的なものと言えるが、現在の人手不足状況は、このような労働条件の改善につながっているのだろうか。
◆正規雇用は増えているか?
昨今、小売や飲食業などを中心に、『無期雇用化』について話題となることが多くなった。その多くは、いわゆる『限定正社員』と呼ばれるもので、正社員のように“期間を定めない雇用”ではあるものの、“勤務地”“職務”“時間”などが限定される(できる)労働契約となる。時間や勤務場所に制約があり、なかなか正規雇用として採用されにくかった層については、安定した働き方を得られるメリットがある。
反面、“限定”は、無限定正社員に比べ賃金の低下がみられ、安定した雇用を得られるものの、賃金の大幅な上昇は期待しにくい。厚生労働省の『「多様な正社員」の普及・拡大ため有識者懇談会 報告書』によると、限定正社員制度を導入している企業では、正社員の9割から8割の賃金水準が多いとされている。
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●文/岸川 宏(きしかわ・ひろし)
アイデム人と仕事研究所
【担当分野】労働関連法。賃金統計・アンケート調査等の作成、分析。[社会保険労務士]
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